医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン

 
2018年12月28日付で厚生労働省より、事務連絡「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて」として、日本でもGDPガイドラインが正式に発出されました。
医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインはPIC/S(医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム)のGDPに準拠し日本の法令を反映したものとなっており、国際調和が図られています。
医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインの本質は
• 医薬品の完全性が保持されるための手法を定めるもの
• 偽造医薬品が正規流通経路へ流入するのを防止するための適切な手法を定めるもの
であり、その適用範囲は「医薬品の市場出荷後、薬局、医薬品販売業、医療機関に渡るまでの医薬品の仕入、保管及び供給業務」で、医薬品を対象にしており原薬、化粧品、再生医療等製品等は対象外となっています。


医薬品の温度管理

医薬品の完全性を保持するためには温度管理が重要で、医薬品が製造されてから患者に届くまでの全ての流通経路において温度管理への配慮が必要です。医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインではその流通経路の医薬品製造所(工場)出荷後の輸送から病院・薬局に配送し納品されるまでが適用範囲となっており、その範囲でも様々な流通経路、流通形態が存在しますが業務としては保管と輸送に分類され、そこでの温度管理手法がガイドラインで示されています。
医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインの内容は緒言、目的、適用範囲と全9章、40の項目及び用語集にて構成されており、その中の「第3章 施設及び機器」と「第9章 輸送」で温度管理に関する記載があります。


施設及び機器と温度管理

「第3章 施設及び機器」に記載されている温度管理に関連した主な項目を次にまとめます。
  • 施設は清潔で乾燥し、許容可能な温度範囲に維持する
  • 施設の温度、照明、湿度及び清潔さを考慮し、環境管理のための手順を定め機器を設置する
  • 保管場所の大きさにかかわらず使用前に、適切な条件下で温度マッピングを実施する
  • 温度モニタリング機器は温度マッピングの結果に従って適切な場所に設置する
  • 保管環境に変化または大きな変更がある場合には温度マッピングを再度実施する
  • 制御またはモニタリングに使用される機器は国家計量標準にトレースできる校正を定期に実施する
  • 保管条件から逸脱時に警報を発するシステムを備え、定期的に点検を実施する
  • コンピュータ化システムにはセキュリティ、電子記録の保護機能を有しバリデーションを実施する
  • コンピュータ化システムの導入、運用は「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」を参考とする

輸送と温度管理

「第9章 輸送」に記載されている温度管理に関連した主な項目を次にまとめます。
  • 輸送中の温度条件を許容可能な範囲に維持する
  • 輸送中の温度逸脱に関する調査や報告を行う
  • 輸送ルートのリスクアセスメントを行い温度管理の必要性を判断する
  • 輸送車両や容器内の温度モニタリングに使用する機器は定期的に保守、校正を行う
  • 輸送容器や包装の選択はバリデーションの状況に基づいて行う
  • 温度制御付き車両は代表的な条件下で温度マッピングを実施する
  • 温度制御付き車両は輸送中に温度モニタリングを行う
  • 温度感受性の高い医薬品の輸送には適格性が保証された温度制御付きの機器や車両を使用する
  • 温度感受性の高い医薬品の輸送及び季節による温度変動を管理する手順を設ける

当社の対応

当社では医薬品の保管や輸送・配送における温度管理や温度管理装置として適したセンサ、機器、システム等を用意しており設備の規模や用途により最適な製品を提供可能です。
医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインでは医薬品の温度管理および医薬品の保管と流通に影響を及ぼす機器の保守・校正に関する要求も明確にされており、それらへのサービス対応も可能です。
当社は温度マッピング、バリデーション、校正等のサービスも実施しておりトータルで医薬流通の温度管理をサポートします。

システム例

対応製品、サービス

温度を計測する無線ロガーとさまざまなインターフェース通信・GPSを搭載した受信器、アプリケーションソフトで構成
モバイル機器にも対応し、用途に合わせてパソコンレスでの運用も可能

1台のパソコンで送信器360台のデータを一元管理、イーサネット上に受信器を最大6台接続でき、各受信器は最大60台の送信器を接続可能 Part11対応のセキュリティ機能を持たせたアプリケーションソフトも用意

MR5300は、最大6000データを収録できるカードサイズの温度データロガーです。温度センサは内蔵されていますが外付けセンサも各種用意されています。防塵防滴形で汚れても水洗いが可能です。データの読み出しや設定はパソコンでも可能です。

入力点数6点、12点のペーパレス記録計 小型ながら多彩な表示と高機能を有し、機器単体または小規模な監視装置として最適 CISASシリーズと組み合わせにより、コンピュータシステムとしての記録計として構築可能

入力点数最大48点 のペーパレス記録計 多彩な表示と高機能を有し、安定性試験機、冷蔵庫、冷凍庫等の機器のデータ管理に最適 CISASシリーズと組み合わせにより、コンピュータシステムとしての記録計として構築可能

CISAS/V4は、弊社の記録計、ロガー、調節計および市販のPLC(プログラマブルコントローラ)をシステムコンポーネントとし、各種装置・設備など最大5000タグのデータをパソコンで集録・監視するパッケージシステムです。

Part11に対応した無線ロガーやグラフィックレコーダで集録した計測データを電子記録として一元管理可能 データ閲覧によるグラフ表示、日報・月報・レポートの作成(印刷、PDF出力)・電子署名可能

当社は計量法に基づく校正機関として温度および湿度の登録を取得 ISO/IEC17025に基づく「MRA対応認定事業者」の認定も取得し、JCSS認定シンボルマーク付き校正証明書の発行が可能

当社のサービス技術員または委託サービスマンがユーザの現場にお伺い、主に温度・湿度などの計測機器、調節計、記録計などの点検・校正サービスを実施