医薬品の適正流通基準(GDP)

 
医薬品の品質は人命に係るものですので、製造時における品質管理はもちろんですが、輸送・保管中にも劣化しないように厳密な品質管理が必要です。この輸送・保管における医薬品の品質を確保することを目的とした基準が医薬品の適正流通基準 GDP(Good Distribution Practice)です。
WHO(世界保健機関)にはGDPガイドラインがあり、EUではGDPが法的規制となっています。日本国内では2018年12月28日付で厚生労働省より、事務連絡「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて」として、GDPガイドラインが正式に発出されました。そして、一般社団法人日本医薬品卸売業連合会では医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインを踏まえ、卸連合会の自主基準である現行のJGSPを見直し、「JGSP(GDP国際整合化対応版)」が作成されております。




海外の医薬品流通の基準について

WHOでは医薬品流通に関するガイドラインは1999年から存在し、2010年度に医薬品の適正流通基準(WHO good distribution practices for pharmaceutical products)を定めました。
EUではWHOより先に1992年にGDP指令が発行され、2013年に大幅に改定され、「Guidelines of 5 November 2013 on Good Distribution Practice of medicinal products for human use(2013/C 343/01)」となっています。
米国では米国薬局方協会(United States Pharmacopeial Convention 、USPC)が制定した「<usp36 1079>Good Storage And Distribution Practices For Drug Products」及び「<1083> Good Distribution Practices—Supply Chain Integrity」が存在しています。
また、PIC/S医薬品査察協定および医薬品査察協同スキーム(PIC/S:Pharmaceutical Inspection Convention and the Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme)においても、EUのGDPガイドラインをベースに、2014年6月1日付でGDPガイドラインを発効させました。その1ヶ月後の2014年7月に日本がPIC/Sに加盟となったため、日本の「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」はPIC/S・GDPに準拠したものとなっています。



医薬品保管中の温度管理

各GDPでの医薬品保管施設等における温度管理要件のポイントは次の通りです。
  • 保管エリアの温度が許容範囲内であること
    倉庫などの保管エリアの温度が適正であることをバリデーションします。
    とくに温度分布については温度マッピングの実施により適格性評価を行います。
  • 保管エリア内の適切な場所の温度の常時モニタリング
    倉庫内の温度モニタリングは温度マッピングの結果に従って適切な場所に温度センサを設置し、常時に温度モニタリングを行うとともに警報監視する装置を必要とします。温度センサ設置の適切な場所は、WHO・GDPでは温度マッピングで確認された高温部(ホットスポット)と低温部(コールドスポット)を優先し、さらに夏と冬とで温度が大きく異なる場合は季節変動を考慮して決定する必要があるとされています。
  • 保管条件を逸脱した時の警報システム
    予め設定した保管温度条件を逸脱したとき、いち早く警報を通報するシステムが必要になります。
  • コンピュータ化システムバリデーションの実施
    モニタリング・警報システムと使用するコンピュータを採用したシステムはコンピュータ化システムバリデーションを実施します。温度記録や警報履歴等を電子データとして扱うためには電子記録、電子署名の要件であるPart11やER/ES指針への適用も必要になります。日本の「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」ではコンピュータ化システム適正管理ガイドラインを参考とすることとなっております。
  • モニタリング/警報システムの定期校正
    モニタリング・警報システムは、国家計量標準等の公的な基準にトレース可能な温度校正を、定期的に実施する必要があります。校正の周期は、リスク及び信頼性評価に基づき、規定された周期で実施しなければなりません。同時に警報システムが適切に機能していることを、保証する試験も実施する必要があります。

当社の対応

当社では医薬品の保管や輸送における温度管理や温度管理装置の校正等に適した装置を用意しており設備の規模や用途により最適な製品を提供可能です。
GDPでは医薬品の温度管理および医薬品の保管と流通に使用される機器の保守・校正・点検に関する要求も明確にされており、それらへのサービス対応も可能です。
温度マッピング、定期校正等のサービスも実施しておりトータルで医薬流通の温度管理をサポートします。


システム例

適応製品

1台のパソコンで送信器360台のデータを一元管理、イーサネット上に受信器を最大6台接続でき、各受信器は最大60台の送信器を接続可能
Part11対応のセキュリティ機能を持たせたアプリケーションソフトも用意


1台のパソコンで送信器360台のデータを一元管理、イーサネット上に受信器を最大6台接続でき、各受信器は最大60台の送信器を接続可能
Part11対応のセキュリティ機能を持たせたアプリケーションソフトも用意


MR5300は、最大6000データを収録できるカードサイズの温度データロガーです。温度センサは内蔵されていますが外付けセンサも各種用意されています。防塵防滴形で汚れても水洗いが可能です。データの読み出しや設定はパソコンでも可能です。


入力点数6点、12点のペーパレス記録計
小型ながら多彩な表示と高機能を有し、機器単体または小規模な監視装置として最適
CISASシリーズと組み合わせにより、コンピュータシステムとしての記録計として構築可能


入力点数最大48点 のペーパレス記録計
多彩な表示と高機能を有し、安定性試験機、冷蔵庫、冷凍庫等の機器のデータ管理に最適
CISASシリーズと組み合わせにより、コンピュータシステムとしての記録計として構築可能


CISAS/V4は、弊社の記録計、ロガー、調節計および市販のPLC(プログラマブルコントローラ)をシステムコンポーネントとし、各種装置・設備など最大5000タグのデータをパソコンで集録・監視するパッケージシステムです。


Part11に対応した無線ロガーやグラフィックレコーダで集録した計測データを電子記録として一元管理可能
データ閲覧によるグラフ表示、日報・月報・レポートの作成(印刷、PDF出力)・電子署名可能


当社は計量法に基づく校正機関として温度および湿度の登録を取得
ISO/IEC17025に基づく「MRA対応認定事業者」の認定も取得し、JCSS認定シンボルマーク付き校正証明書の発行が可能


当社のサービス技術員または委託サービスマンがユーザの現場にお伺い、主に温度・湿度などの計測機器、調節計、記録計などの点検・校正サービスを実施