Chapter 1
なぜバイオマス燃料の安全管理が重要なのか
バイオマス発電では、 木質ペレットなどの燃料を貯蔵・搬送して発電設備へ供給します。 このため、発電設備そのものだけでなく、 燃料を扱う設備の安全管理も重要になります。
経済産業省は2024年2月1日、 バイオマス発電所における安全確保の徹底と 事故発生時の報告について事業者へ要請しました。 木質ペレットは生産地などによって品質が必ずしも均一ではないため、 燃料特性を把握したうえで必要な設備面の対策を行い、 貯蔵・運搬設備などについて巡視・点検・清掃を徹底することなどを求めています。
経済産業省の要請は、 温度監視システムだけを導入すればよいというものではありません。 燃料特性、設備対策、巡視・点検・清掃、 事故時の報告・情報共有などを含めた総合的な安全管理が前提です。
Chapter 2
経済産業省が示すバイオマス発電所の安全確保
経済産業省は、2024年2月1日付の要請で、 バイオマス燃料に起因する事故の再発防止に向けて、 次の3点について対応の徹底を求めています。
1. 燃料特性に応じた安全対策
木質ペレットなどは生産地等によって品質が必ずしも均一ではないため、 それぞれの特性を十分に把握し、 特性に応じた設備面の安全対策を確認します。
2. 巡視・点検・清掃
貯蔵・運搬設備など、 過去に事故が発生している設備をはじめ、 必要と考えられる設備について 巡視、点検、清掃などを徹底します。
3. 事故時の報告・情報共有
火災等が発生した場合には、 法令上の報告対象かどうかにかかわらず、 管轄の産業保安監督部へ前広に報告することが求められています。
さらに、事故原因や再発防止策について、 検討中の段階から業界団体等を通じて情報を横展開し、 類似事故の未然防止に協力することも要請されています。
Chapter 3
燃料貯蔵・搬送設備で考える火災リスク
木質ペレットなどのバイオマス燃料では、 貯蔵条件や燃料の状態などによって、 発熱や火災につながるリスクを考える必要があります。
一方、実際のリスクは燃料の種類、含水率、 貯蔵量、設備構造、換気条件などによって異なるため、 一般論だけで危険性を判断することはできません。
発熱・温度上昇
燃料の状態や貯蔵条件によって発熱が進み、 局所的な温度上昇が発生することがあります。
可燃性ガス
バイオマス燃料の貯蔵環境では、 条件によって可燃性ガスが発生・蓄積する可能性があります。
粉じん
燃料の取り扱いや搬送では粉じんが発生することがあり、 設備条件によっては粉じんに関するリスクも考慮する必要があります。
これらのリスクへの対策は、 温度測定だけでなく、 設備設計、換気、清掃、巡視、 可燃性ガスや粉じんへの対策などを含めて検討してください。
Chapter 4
温度監視システムに求められる機能
発火リスクのある設備では、 異常が発生してから確認するのではなく、 温度などの状態変化を継続して把握することが 安全管理の一つの手段になります。
連続温度監視
燃料貯蔵庫や搬送設備などの温度を継続的に収集し、 温度変化を確認できるようにします。
異常検知
あらかじめ設定した条件に対して 温度上昇などの異常を検知し、 担当者が確認できるようにします。
アラーム・通知
設定条件を超えた場合に、 監視画面や通知機能によって 関係者へ知らせます。
データ保存
温度履歴を保存することで、 異常発生前後の状況確認や 傾向分析に利用できます。
複数箇所の一元監視
サイロや搬送設備など複数箇所の状態を 一つの画面から確認できるようにします。
温度監視は火災そのものを自動的に防止する機能ではありません。 監視結果をもとに、 点検、冷却、燃料管理などの適切な対応につなげる 運用設計が重要です。
Chapter 5
熱画像カメラを使った監視システムの構成例
チノーでは、 バイオマス燃料を扱う設備の監視構成として、 固定形熱画像計測装置、 統合監視システム、 サイロ内の温度を測定する温度センサを 組み合わせる構成を提案しています。
固定形熱画像計測装置 CPA-L3
重要な監視ポイントを固定して熱画像を取得し、 表面の温度分布を確認するために使用します。
現行のCPA-L3シリーズは、 320×240画素の非冷却固体撮像素子を使用し、 選択した仕様に応じて -20~150℃、0~300℃、0~500℃、 オプションで最大2000℃の温度測定に対応します。
CISAS
温度データや各種計測機器からの情報をまとめて管理し、 監視画面、警報、履歴管理などに利用できます。
現行のCISAS 5では、 5000点の集録、1秒からの集録周期、 最大400台の機器接続などに対応しています。
サイロ測温ケーブル
サイロ内部の温度を複数点で測定し、 内部の温度分布を確認するためのセンサです。
現行のR101・R102・R103では、 用途に応じて穀物サイロやRDF、 石炭サイロなどの温度測定に利用できます。
アラーム・履歴管理
設定した条件に応じて警報を発生させ、 発生時の状況を履歴として確認できる構成を検討できます。
システム構成の考え方
熱画像による表面温度の監視と、 サイロ内部の温度センサによる測定を組み合わせることで、 外部と内部の状態を異なる方法から確認できます。
監視点数、センサ配置、カメラ台数、 通信方式、警報条件などは設備によって異なります。 実際の構成は、現場条件を確認したうえで検討する必要があります。
Chapter 6
温度データを記録・分析して設備管理に活用する
温度監視の目的は、 異常時に知らせるだけではありません。 過去の温度データを振り返ることで、 温度上昇の傾向や設備状態の変化を確認し、 点検や設備管理の参考情報として活用できます。
傾向を見る
日々の温度変化や季節変動、 特定設備での温度上昇傾向を確認します。
異常前後を確認する
警報が発生した時点だけでなく、 その前後の温度履歴を確認できます。
点検計画に活用する
データを設備管理の参考情報として利用し、 点検方法やタイミングの見直しを検討できます。
温度データから将来の火災発生を確実に予測できるわけではありません。 データ分析は、点検・巡視などを補助する情報として活用し、 安全管理の判断と組み合わせることが重要です。
FAQ
バイオマス発電所の温度監視についてよくある質問
Q. 温度監視だけで火災を防げますか?
いいえ。 温度監視は安全対策の一つです。 燃料特性の把握、設備面の対策、 巡視・点検・清掃、適切な運用などと組み合わせて 総合的に安全管理を行う必要があります。
Q. 熱画像カメラと温度センサは両方必要ですか?
必ずしも両方が必要とは限りません。 熱画像カメラは広い範囲の表面温度分布を確認するのに向き、 サイロ測温ケーブルなどの温度センサは 内部の温度を複数点で確認するのに向いています。 監視対象や設備構造に応じて構成を検討します。
Q. CPA-L3はどの程度の温度を測れますか?
現行のCPA-L3シリーズでは、 -20~150℃、0~300℃、0~500℃の測定レンジから選択でき、 オプションで最大2000℃に対応します。 詳細な仕様はレンズや選択条件を含めて製品ページをご確認ください。
Q. サイロ内部の温度も監視できますか?
はい。 サイロ測温ケーブルを使用すると、 サイロ内部の複数測定点の温度を確認できます。 現行のR101・R102・R103では、 最大11点の測定点や最大50mのケーブル長に対応する機種があります。
まとめ
バイオマス発電所の安全管理は「監視」だけで終わらせない
バイオマス発電所では、 燃料の特性や貯蔵・搬送設備の状態を把握し、 巡視・点検・清掃などを含めた安全対策を継続することが重要です。
温度監視を導入する場合は、 熱画像カメラによる表面温度の監視、 サイロ測温ケーブルによる内部温度の監視、 監視システムによる履歴・警報管理など、 監視対象に応じて適切な計測方法を組み合わせます。
- 燃料: 燃料の特性や状態を把握する
- 設備: 貯蔵・搬送設備を巡視・点検・清掃する
- 監視: 温度などの状態変化を継続的に把握する
- 通知: 異常時に担当者が状況を確認できるようにする
- 記録: 履歴を保存し、設備管理や再発防止の検討に活用する
チノーでは、 熱画像計測装置、温度センサ、サイロ測温ケーブル、 監視システムなどを組み合わせた 計測・監視システムを提案しています。
Reference
バイオマス発電の安全管理について
安全対策や事故報告については、 経済産業省などの最新情報をご確認ください。
※外部サイトへ移動します。 安全対策、事故報告、関連規制等は最新情報をご確認ください。
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サイロ、搬送設備、燃料保管設備など、 監視対象や設置環境に応じて、 熱画像カメラや温度センサ、 監視システムを組み合わせた構成を検討できます。
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