温度計測機器の選び方|温度センサ・放射温度計・記録計の違い

初心者向け 温度計測ガイド

温度計測機器の選び方|温度センサ・放射温度計・記録計の違い

3秒で分かる要点

  • 触れて測る(接触式)」か「離れて測る(非接触式)」か、まずはここから決めれば迷いません。
  • その場で見るだけなら「温度計」、データを残すなら「ロガーや記録計」、異常をスマホやPCで知りたいなら「監視システム」を選びます。
  • 選び方に迷ったら、まずは「測りたいものの名前」と「その温度(目安)」を整理するだけで、最適な機器がすぐに見つかります。

『うちの現場の場合はどれ?』と迷われたら、ページ下部のチェックリストをメモして、お気軽に問い合わせからご相談ください。チノーの専門スタッフが最適な組み合わせをご提案します。

『食品工場で冷蔵庫や加熱工程の温度記録を見直したい。』
『医薬品、試薬、検体などの保管温度を管理したい。』
『製造設備や炉の温度を測定・記録したい。』
『試験中の温度変化を複数点で記録したい。』
『倉庫や保管室の温湿度をまとめて監視したい。』

このような場合、温度を測るだけで十分とは限りません。
測定した温度を記録する必要があるのか、異常時に通知する必要があるのか、品質管理や監査のために記録を残す必要があるのかによって、選ぶべき機器やシステムは変わります。

この記事でわかること

  • 接触式と非接触式の違い
  • 温度センサ、放射温度計、データロガー、記録計、監視システムの使い分け
  • 食品、医薬品、製造設備、試験、倉庫管理での考え方
  • 温度計測で失敗しやすいポイント
  • 相談前に整理しておきたい確認項目

温度計測は「測る・記録する・監視する」で考える

温度計測というと、まず温度計や温度センサを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際の現場では「温度を測る」だけで十分な場合もあれば、「測った温度を記録する」「異常があったときに知らせる」「品質管理や監査のために記録を残す」ことまで必要になる場合もあります。

そのため、温度計測は次のように段階を分けて考えると整理しやすくなります。

まず知りたいこと 考えるポイント 関係する機器・サービス
温度をどう測るか 接触できるか、表面温度か内部温度か 温度センサ、放射温度計
温度を残すか 一時的な確認か、連続記録か データロガー、記録計
異常に気づく必要があるか 警報・遠隔確認が必要か 温湿度監視システム
記録を証明に使うか 校正・帳票・監査対応が必要か 校正サービス、記録システム

たとえば、設備の状態をその場で確認したいだけであれば、温度計や放射温度計で足りる場合があります。一方で、冷蔵庫や保管庫の温度を毎日確認する必要がある場合は、記録計やデータロガーによる自動記録が役立ちます。

さらに、医薬品や食品のように温度逸脱が品質に影響する場合は、異常時に通知できる監視システムや、記録の信頼性を示すための校正も重要になります。

チノーで対応できる範囲

チノーでは、温度センサや放射温度計などの測定機器だけでなく、記録計、調節計、温湿度監視システム、校正サービスまで扱っています。そのため、温度を測る段階から、記録・監視・品質管理までを一連の流れとして検討できます。

まずは「何のために温度を測るのか」を整理する

温度計測の方法を選ぶ前に、まず目的を整理しましょう。同じ「温度を測る」でも、目的によって必要な機器や仕組みは変わります。

目的 考えるべきこと
その場で温度を確認したい 接触式か非接触式か
温度変化を残したい 記録計やデータロガーが必要か
異常を知らせたい 警報・通知・遠隔監視が必要か
品質を証明したい 校正・記録・帳票対応が必要か
温度を制御したい センサ、調節計、制御機器の組み合わせ

食品工場で冷蔵庫の温度を管理する場合、温度を測るだけでなく、一定期間の記録を残すことや、温度が基準を外れたときに気づける仕組みが必要になることがあります。

医薬品や試薬の保管では、温湿度の連続記録に加えて、温度逸脱が起きたときに早く把握できること、測定機器が正しく管理されていることも重要になります。

製造設備では、炉や配管、装置内部の温度を安定して測ることに加え、工程管理や品質管理のために連続記録が必要になる場合があります。

このように、最初に目的を整理しておくことで、必要な機器やシステムを選びやすくなります。

接触式温度センサと非接触式・放射温度計の選び方

温度を測る方法は、大きく分けると接触式と非接触式があります。接触式は、温度センサを対象物に接触させて温度を測る方法です。一方、非接触式は、対象物に触れずに、赤外線などを利用して表面温度を測る方法です。

どちらが優れているというよりも、測定したい対象や環境によって使い分けることが大切です。

比較項目 接触式 非接触式
測定方法 センサを対象物に接触させる 離れた場所から表面温度を測る
向いている温度 内部温度、液体、気体、設備温度など 表面温度、高温物、移動体など
強み 安定した測定がしやすい 安全・高速・非接触で測れる
注意点 取り付け、応答性、センサ劣化 放射率、距離、外乱、表面状態
設備や配管の温度測定に使用するチノーの接触式温度センサ
接触式の温度センサは、設備や配管、炉内などの温度測定に使用されます。
高温物や動く対象物を離れた場所から測定するチノーの放射温度計
放射温度計は、高温物や動いている対象物を離れた場所から測定したい場合に有効です。

接触式が向いているケース

  • 液体や気体の温度を測りたい
  • 対象物の内部温度を測りたい
  • 配管や設備にセンサを取り付けて連続測定したい
  • 炉や装置の温度を測りたい
  • 比較的安定した測定を行いたい

非接触式が向いているケース

  • 高温物を離れた場所から測りたい
  • 動いている対象物を測りたい
  • 対象物に触れられない
  • 衛生面から接触を避けたい
  • 表面温度を素早く測りたい

製造設備や既設装置に取り付ける場合は、温度範囲だけでなく、取り付け場所、配線、出力信号、周囲環境も確認しておく必要があります。高温、振動、粉じん、水分、腐食性ガスなどがある現場では、センサの種類や保護管、設置方法も選定に影響します。

非接触式は主に表面温度を測る方法です。対象物の内部温度を直接測るものではないため、用途によっては接触式のほうが適している場合があります。また、測定対象の材質や表面状態、測定距離、周囲環境の影響を受ける場合があります。

温度を記録する方法|データロガーと記録計の違い

温度計測では、温度をその場で確認できればよい場合と、測定した温度を記録として残す必要がある場合があります。

日常点検で一時的に温度を確認するだけであれば、温度計や放射温度計で足りることがあります。一方で、品質管理、工程管理、試験、保管、輸送などでは、温度がどのように変化したかを記録として残すことが重要になります。

やりたいこと 適した機器
その場で温度を見る 温度計、放射温度計
一定期間の温度変化を残す データロガー
設備や工程の温度を連続記録する 記録計
複数点をまとめて記録する 多点記録計、データ収集装置
データロガーと記録計の違い
データロガーは、一定期間の温度変化を手軽に記録したい場合に向いています。冷蔵庫、輸送中、保管室、試験中の一時的な記録などで使いやすい機器です。一方、記録計は、製造設備や試験装置などに組み込み、温度を連続的に記録したい場合に向いています。
冷蔵庫や保管庫の温度変化を記録するチノーのデータロガー
データロガーは、冷蔵庫や保管庫、輸送中などの温度変化を記録する用途に適しています。
製造工程や試験設備の温度を連続記録するチノーの記録計
記録計は、製造設備や試験装置などで温度を連続的に記録する場合に使用されます。

データロガーが向いているケース

データロガーは、温度などのデータを一定間隔で記録する機器です。比較的小規模な記録や、一定期間の温度変化を確認したい場合に向いています。

  • 冷蔵庫や冷凍庫の温度記録
  • 倉庫や保管室の温湿度記録
  • 輸送中の温度変化の確認
  • 試験中の温度変化の記録
  • 一時的な現場確認

記録計が向いているケース

記録計は、設備や工程の温度を連続的に記録する用途に向いています。製造設備、試験装置、炉、保管設備などで、複数点の温度をまとめて記録したい場合にも使われます。

記録計を選ぶ際は、測定点数、入力種類、記録間隔、保存容量、データ出力、設置場所などを確認することが大切です。特に、試験や品質管理に使う場合は、あとからデータを確認しやすいか、必要な形式で出力できるかも重要になります。

温度異常を監視する方法|警報通知・遠隔監視・一元管理

温度を記録していても、異常にすぐ気づけなければ、品質トラブルや設備トラブルにつながる場合があります。

冷蔵庫の温度が夜間に上昇していた、保管庫の温湿度が基準を外れていた、設備の温度異常に気づくのが遅れた、といったケースでは、温度を記録するだけでなく、異常時に知らせる監視の仕組みが必要になります。

課題 監視システムでできること
温度異常に気づくのが遅れる 警報・メール通知
複数箇所の管理が大変 一元管理
手書き記録に手間がかかる 自動記録
夜間・休日の異常が不安 遠隔監視
監査対応に不安がある 記録保存・履歴管理
複数箇所の温湿度を一元管理するチノーの温湿度監視システム
温湿度監視システムを活用すると、複数箇所の温湿度をまとめて確認し、異常時の通知にも対応できます。

監視システムが向いているケース

  • 冷蔵庫・冷凍庫を複数台管理している
  • 倉庫や保管室の温湿度をまとめて確認したい
  • 夜間や休日も温度異常を把握したい
  • 離れた場所から温湿度を確認したい
  • 手書き巡回の負担を減らしたい
  • 温度逸脱時の対応履歴を残したい
  • 品質管理や監査に備えたい

監視システムを検討する際は、測定点数、設置場所、通信環境、警報の通知方法、記録の保存方法などを確認しておくと、導入後の運用がスムーズになります。

目的別に見る温度計測機器の選び方

ここでは、初心者の方が迷いやすい目的別に、温度計測の考え方を整理します。

冷蔵庫や保管庫の温度を記録したい

冷蔵庫や保管庫では、温度が一定範囲内に保たれているかを確認することが重要です。食品、医薬品、試薬、検体などを保管する場合は、温度逸脱が品質に影響する可能性があります。

  • 何台の冷蔵庫・保管庫を管理するか
  • 温度だけでなく湿度も必要か
  • 手書き記録を続けるか、自動記録にするか
  • 温度逸脱時に誰へ通知するか
  • 校正証明書や記録保存が必要か

製造設備や炉の温度を測りたい

製造設備や炉では、測定対象の温度範囲や設置環境に合わせて、適切な温度センサを選ぶ必要があります。工程管理や品質管理に使う場合は、測定だけでなく記録や制御まで含めて考えることが大切です。

  • 測定対象は炉内、配管、装置、製品表面のどこか
  • センサを取り付けられるか
  • 測定温度範囲はどの程度か
  • 高温、振動、粉じん、水分などの環境条件はあるか
  • 測定値を記録・制御に使うか

試験中の温度変化を記録したい

研究開発や評価試験では、試験中の温度変化を記録することで、試験条件の確認や再現性の確保に役立ちます。

  • 何点の温度を測定するか
  • どのくらいの間隔で記録するか
  • 試験時間はどのくらいか
  • 記録データをどの形式で取り出したいか
  • 試験結果の説明に校正証明書が必要か

倉庫や複数拠点の温湿度を監視したい

倉庫や複数拠点の温湿度を管理する場合、巡回して手書きで記録する方法では、手間がかかるだけでなく、異常に気づくのが遅れる可能性があります。

  • 測定したい場所は何箇所あるか
  • 無線で測定できる環境か
  • 遠隔で確認したいか
  • 警報通知が必要か
  • 拠点ごとに管理するか、一元管理したいか

監査や品質保証に使える記録を残したい

食品、医薬品、研究開発、製造品質管理などでは、温度の記録をあとから確認できることが重要です。単に温度データが残っているだけでなく、いつ、どこで、どの機器で測定したのかを説明できることが求められる場合があります。

  • 記録を何の目的で使うか
  • 記録の保存期間はどのくらい必要か
  • 帳票化やデータ出力が必要か
  • 測定機器の校正証明書が必要か
  • 異常発生時の履歴を残す必要があるか

温度計測で失敗しやすいポイント

温度計測では、機器の仕様だけを見て選ぶと、実際の現場で使いにくい、必要な記録が残せない、測定値の説明が難しいといった問題が起こることがあります。

  • 表面温度と内部温度を混同してしまう
  • 温度範囲だけで機器を選んでしまう
  • 放射率や測定距離を考慮せずに非接触式を選んでしまう
  • 記録が必要なのに、表示だけの機器で済ませてしまう
  • 記録間隔や測定点数を確認していない
  • 異常時の通知先や対応ルールを決めていない
  • 校正や証明書の必要性を後から考えてしまう
  • 設置環境や保守のしやすさを確認していない

温度計測で大切なのは、「何℃まで測れるか」だけではありません。測りたい場所、必要な精度、記録の有無、監視の必要性、設置環境、校正の必要性まで含めて検討することで、導入後のトラブルを減らしやすくなります。

用語ミニ解説

温度計測でよく使われる用語を簡単に整理します。

用語 簡単な説明
接触式センサを対象物に触れさせて温度を測る方法
非接触式対象物に触れず、赤外線などで表面温度を測る方法
温度センサ温度を検出する部品や機器。熱電対、測温抵抗体などがある
放射温度計対象物から出る赤外線を利用して、非接触で温度を測る機器
データロガー温度などのデータを一定間隔で記録する機器
記録計設備や工程の温度を連続的に記録する機器
監視システム複数箇所の温湿度をまとめて確認し、異常時に通知する仕組み
校正測定機器の値が正しいかを確認すること
帳票記録データを確認・提出しやすい形にまとめたもの
温度逸脱管理すべき温度範囲から外れること

専門用語が多く感じる場合でも、最初からすべてを理解する必要はありません。まずは「測る」「記録する」「監視する」のどこまで必要かを整理すると、選ぶべき機器が見えてきます。

相談前に確認しておきたいチェックリスト

温度計測について相談する前に、次の項目を整理しておくと、必要な機器やシステムを検討しやすくなります。

確認項目
測りたいもの食品、液体、炉、配管、冷蔵庫、倉庫など
測りたい温度範囲-20〜80℃、500℃以上など
測りたい場所表面、内部、空間、設備内部
測定方法接触できる、接触できない、離れて測りたい
記録の必要性その場で見るだけ、連続記録、帳票化など
監視の必要性警報、遠隔確認、複数拠点管理など
測定点数1点、数点、数十点など
校正証明書必要、不明、不要
設置環境屋内、屋外、高温、多湿、粉じん、振動など
データ活用確認のみ、CSV出力、帳票、監査資料など

すべてを最初から決めておく必要はありません。ただし、測定対象や目的、記録・監視の必要性がある程度整理できていると、より適した方法を選びやすくなります。

導入費用を考えるときのポイント

温度計測機器や監視システムの費用は、測定点数、温度範囲、設置環境、記録期間、警報通知の有無、校正証明書の必要性などによって変わります。

  • 測定点数が多いほど、必要なセンサや入力点数が増える
  • 高温・多湿・粉じん・屋外などの環境では、機器や設置方法の検討が必要になる
  • 記録だけでよいのか、遠隔監視や警報通知まで必要かで構成が変わる
  • 品質管理や監査で使用する場合は、校正証明書や記録保存の仕組みも確認する

よくある質問

Q. 接触式と非接触式はどちらを選べばよいですか?
A. 対象物の内部温度や液体・気体の温度を測りたい場合は接触式、高温物や動く対象物、触れられない対象物の表面温度を測りたい場合は非接触式が向いています。
Q. 温度を記録したい場合は、データロガーと記録計のどちらがよいですか?
A. 一定期間の温度変化を手軽に記録したい場合はデータロガー、設備や工程の温度を連続的に記録したい場合は記録計が向いています。
Q. 温度監視システムはどのような場合に必要ですか?
A. 複数箇所の温湿度をまとめて管理したい場合、夜間や休日の異常を把握したい場合、温度逸脱時に通知したい場合、監査や品質管理のために記録を残したい場合に有効です。

迷ったら「測定・記録・監視・校正」をセットで考える

温度計測で失敗しないためには、測定方式だけでなく、記録・監視・校正まで含めて考えることが重要です。チノーでは、温度センサ、放射温度計、記録計、調節計、温湿度監視システム、校正サービスなど、温度計測に関わる幅広い製品・サービスを提供しています。

温度計測の方法でお困りの場合は、測定対象や用途、記録・監視の必要性に合わせて最適な方法をご提案します。

この記事の監修

株式会社チノー マーケティング担当部門

1936年の創業以来、温度計測・制御のパイオニアとして日本のものづくりを支えてきたチノーの専門チームが監修しています。現場のリアルな声や、JCSS校正事業者としての知見をもとに、正確な情報をお届けします。

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