Chapter 1

Wi-Fiとは何か

LANケーブルを使わずに機器をネットワークへ接続する

Wi-Fiを使うと、 パソコン、スマートフォン、タブレット、計器などを LANケーブルで直接配線せず、 電波を利用してネットワークへ接続できます。

家庭ではスマートフォンやパソコンを インターネットへ接続する用途が身近ですが、 工場では計器やロガーとパソコンをつないだり、 測定データを収集したりする用途にも利用されます。

Wi-Fiとインターネットは別のもの

Wi-Fiを使っているからといって、 必ずインターネットへ接続しているわけではありません。

たとえば工場内で、 計器と監視用パソコンだけをWi-Fiで接続し、 外部のインターネットへは接続しない構成も可能です。

言葉 役割 簡単なイメージ
Wi-Fi 電波でLANへ接続する LANケーブルを無線にする
LAN 建物や施設など限られた範囲のネットワーク 施設内のネットワーク
インターネット 世界中のネットワークを相互につなぐ LANの外へつながるネットワーク

Wi-Fiは何の略?

Wi-Fiは「Wireless Fidelity」の略称として作られた言葉ではありません。 Wi-Fiという名称自体が、無線LAN製品の普及にあたって 覚えやすい名称として採用されたブランド名です。

Wi-Fiを理解するときは名前の由来よりも、 「対応する機器同士を無線LANで接続するために使われる」 と理解しておけば十分です。

Chapter 2

Wi-Fiと無線LANは何が違う?

日常では「Wi-Fi」と「無線LAN」が ほぼ同じ意味で使われることがありますが、 厳密には言葉の範囲が少し違います。

無線LAN

LANをケーブルではなく無線通信で構築する ネットワーク方式の総称です。

Wi-Fi

IEEE 802.11系の無線LAN技術を利用する機器について、 相互接続性を確認する認証・ブランドとして普及した名称です。

そのため、一般的なパソコンやスマートフォン、 アクセスポイントなどで利用される無線LANを 「Wi-Fi」と呼ぶことが広く定着しています。

Chapter 3

ルーター・アクセスポイント・SSIDとは?

Wi-Fiを使うときには、 「ルーター」「アクセスポイント」「SSID」といった言葉が出てきます。 役割を分けて考えると難しくありません。

名称 役割
アクセスポイント Wi-Fi対応機器が無線でLANへ接続するための接続点
ルーター 異なるネットワーク間でデータを中継する機器
無線LANルーター ルーターとWi-Fiアクセスポイントなどの機能を一体化した機器
SSID 接続するWi-Fiネットワークを識別するための名前

家庭用の「Wi-Fiルーター」は複数の機能が一体になっているため 違いを意識することは少ないですが、 工場ではアクセスポイントとルーターが 別々に設置されている場合があります。

Chapter 4

2.4GHzと5GHzは何が違う?

Wi-Fiでは複数の周波数帯が利用されます。 身近なものが2.4GHz帯と5GHz帯です。

項目 2.4GHz帯 5GHz帯
届き方 比較的遠くまで届きやすい 2.4GHzより障害物の影響を受けやすい
混雑 利用機器が多く、混雑・干渉する場合がある 2.4GHzより混雑を避けやすい場合がある
主な特徴 距離や障害物がある環境で候補になりやすい 通信速度や周辺電波の状況から候補になる

「工場なら必ず2.4GHz」 「5GHzなら必ず速い」と単純には決められません。 距離、壁、金属設備、周囲の電波、 使用する機器が対応する周波数帯などを確認して選びます。

Chapter 5

Wi-Fiと有線通信はどう違う?

計器を接続する方法はWi-Fiだけではありません。 Ethernet(LAN)やRS-485などのシリアル通信も 産業現場では広く利用されています。

方式 特徴 考え方
Wi-Fi 電波でLANへ接続 配線を減らしやすい
Ethernet LANケーブルでネットワークへ接続 固定設備で安定した通信を構築しやすい
RS-232C 比較的シンプルな1対1のシリアル通信 機器間を直接接続する用途
RS-485 複数機器・比較的長い距離にも利用される 計器を複数接続する産業用途で広く利用

無線だから必ず便利とは限らない

配線が難しい場所や移動する機器ではWi-Fiが有効ですが、 固定設備で配線できる場合は Ethernetなどの有線通信が適していることもあります。

通信方式は、 「新しい方式だから選ぶ」のではなく、 必要な距離、安定性、配線、台数、 既存機器との互換性から選ぶことが重要です。

Chapter 6

Wi-Fiがつながらない主な原因

距離が遠い

電波は距離が離れるほど弱くなります。 アクセスポイントと機器の距離を短くすると 改善する場合があります。

壁や金属がある

コンクリート壁、金属棚、 大型設備などが電波を遮ったり、 反射させたりすることがあります。

水分の多いものがある

水を多く含む物体も電波へ影響します。 タンクや配管、製品、植物などが 通信経路にある場合は注意します。

周囲の電波と干渉する

同じ周波数帯を利用する機器が多い環境では、 通信が混雑したり不安定になったりする場合があります。

Chapter 7

工場ではなぜWi-Fiがつながりにくいことがある?

工場や倉庫は、 オフィスや一般家庭とは電波環境が大きく異なることがあります。 特に大型の金属設備や棚、建物構造、 設備の稼働状況などが通信へ影響します。

現場 起きやすいこと 確認ポイント
製造工場 大型設備や金属で電波が遮られる・反射する 設備の裏を避け、設置高さや位置を変える
倉庫 金属棚や保管品によって電波環境が変わる 棚が空の状態だけで判断しない
タンク・配管周辺 金属や液体の影響を受ける アクセスポイントとの位置関係を確認する
ビニールハウス 金属骨組みや植物の水分などの影響を受ける 季節や植物の成長による変化も確認する

工場では設備や在庫の配置が変わることで、 導入時には問題なかった通信が 後から不安定になることもあります。 実際の運用状態で通信環境を確認することが重要です。

Chapter 8

Wi-Fi・有線・その他の無線通信はどう選ぶ?

工場の計測・監視では、 Wi-Fiだけが無線通信の選択肢ではありません。 用途によっては920MHz帯などを利用する無線機器が適する場合もあります。

方式 向いている場面 確認したいこと
Wi-Fi 既存LANを活用したい、 PCやネットワーク機器と接続したい 電波環境、周波数帯、セキュリティ
Ethernet 固定設備で安定したネットワークを構築したい 配線経路、ポート、ネットワーク構成
RS-485など 計器同士を比較的シンプルに接続したい 配線距離、台数、通信プロトコル
920MHz帯など 少量の計測データを比較的広い範囲から無線収集したい 通信速度、送信間隔、対応機器、設置環境

通信方式は「無線か有線か」だけで決まりません。 何を、どこから、どのくらいの頻度で、 何台集めるのかを先に整理すると選びやすくなります。

Chapter 9

工場でWi-Fiを使うときはセキュリティも確認する

工場や研究施設でWi-Fiを利用する場合は、 「電波が届くか」だけでなく、 誰がネットワークへ接続できるかも重要です。

  • 初期設定のパスワードをそのまま使わない
  • 利用する機器やユーザーを管理する
  • 不要な外部接続を許可しない
  • 社内のネットワーク・情報セキュリティ方針を確認する
  • 機器やアクセスポイントの更新・保守方法を確認する

監視システムや計測機器を社内ネットワークへ接続する場合は、 計測担当者だけで決めず、 情報システム部門やネットワーク管理者と 接続条件を確認して進めることが重要です。

Chapter 10

Wi-Fiがつながらないときに確認する順番

  1. 接続したいSSIDや設定が正しいか確認する。
  2. アクセスポイントへ機器を近づけて変化を見る。
  3. 壁、金属棚、大型設備、タンクなどの障害物を確認する。
  4. 機器やアクセスポイントの位置・高さ・向きを変えてみる。
  5. 2.4GHz・5GHzなど、使用している周波数帯を確認する。
  6. 周囲に同じ周波数帯を使う機器が多くないか確認する。
  7. 改善しない場合は、アクセスポイントの追加や通信方式そのものを見直す。

電波環境は設置位置によって大きく変わります。 数十センチから数メートル位置を変えるだけで 通信状態が改善することもあります。

FAQ

Wi-Fiについてよくある質問

Wi-Fiとは簡単にいうと何ですか?

LANケーブルを使わず、 電波でパソコンやスマートフォン、計器などを LANへ接続するために使われる仕組みです。

Wi-Fiと無線LANは同じですか?

日常ではほぼ同じ意味で使われることがありますが、 無線LANはLANを無線で構築する方式の総称です。 Wi-FiはIEEE 802.11系の無線LAN技術を利用した 相互接続性の認証・ブランドとして普及しています。

Wi-Fiとインターネットは違いますか?

違います。 Wi-Fiは機器を無線でLANへ接続する仕組みで、 インターネットは外部のネットワークへつながる仕組みです。 インターネットへ接続しないWi-Fiネットワークもあります。

Wi-FiはWireless Fidelityの略ですか?

いいえ。 Wi-FiはWireless Fidelityの正式な略称として 作られた名称ではありません。

2.4GHzと5GHzはどちらがよいですか?

一律には決められません。 2.4GHzは比較的遠くまで届きやすい一方、 周辺機器との干渉を受ける場合があります。 5GHzは2.4GHzより障害物の影響を受けやすいため、 距離や設備配置、周辺電波を確認して選びます。

工場ではWi-Fiより有線LANの方がよいですか?

用途によります。 固定設備で配線しやすく安定した通信を優先する場合は 有線LANが適することがあります。 配線が難しい場所や機器配置の自由度を高めたい場合は Wi-Fiが有効です。

RS-232C、RS-422A、RS-485はWi-Fiですか?

いいえ。 いずれも代表的なシリアル通信の方式で、 Wi-Fiとは異なります。 産業用計器では現在も広く利用されています。

Wi-Fiがつながらないときは何から確認すればよいですか?

まず設定と距離を確認し、 次に壁・金属設備などの障害物、 使用周波数帯、周辺電波の混雑を順番に確認すると 原因を整理しやすくなります。

まとめ

Wi-Fiは便利さだけでなく、現場に合った通信方式として選ぶ

Wi-Fiは、 LANケーブルを使わずに機器をネットワークへ接続できるため、 パソコンやスマートフォンだけでなく、 工場の計器や監視システムでも利用できます。

一方で、工場では金属設備、壁、タンク、 周辺の無線機器などによって 電波環境が大きく変わることがあります。 2.4GHzと5GHzにもそれぞれ特徴があり、 Wi-Fiがすべての場所に最適とは限りません。

計器接続では、 Wi-Fi、Ethernet、RS-485などの特徴を理解したうえで、 距離、台数、通信量、配線、 既存設備との接続条件から選ぶことが重要です。

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