食中毒対策で温度管理が重要な理由
食中毒の原因となる細菌は、食品に付着し、条件がそろうと増殖することがあります。食中毒予防では、細菌を食品に「つけない」、食品中で「増やさない」、加熱などで「やっつける」という考え方が基本です。
温度管理は、このうち特に「増やさない」「やっつける」に関係します。冷蔵・冷凍が必要な食品を適切な温度で保管すること、加熱が必要な食品を十分に加熱すること、調理後の食品を適切に冷却・保管することは、食品現場の衛生管理において重要なポイントです。
温度確認は「測る場所」と「測り方」が重要です
食品の表面温度と内部温度は、必ずしも同じではありません。表面温度をすばやく確認したい場合と、食品内部まで加熱・冷却されているかを確認したい場合では、適した温度計が異なります。
食品現場で温度確認が必要な工程
食品の温度管理は、調理中だけでなく、食材の受入から保管、加熱、冷却、提供・陳列までの流れ全体で考えることが大切です。工程ごとに確認すべき温度や測定方法を整理しておくと、日常管理や記録管理が行いやすくなります。
| 工程 | 温度確認の目的 | 使用する温度計の例 | 確認時のポイント |
|---|---|---|---|
| 食材の受入 | 納品時の温度逸脱を確認する | 放射温度計、中心温度計 | 表面温度をすばやく確認し、必要に応じて食品内部の温度も確認します。 |
| 冷蔵・冷凍保管 | 保管中の温度変化を把握する | 温度計、温度ロガー、記録計 | 扉の開閉、霜取り運転、庫内の温度ムラにも注意します。 |
| 下処理・仕込み | 食材の放置や温度上昇を防ぐ | 放射温度計、中心温度計 | 作業時間が長くなる場合は、食材温度の変化に注意します。 |
| 加熱調理 | 食品内部まで十分に加熱されているか確認する | 中心温度計 | 食品の中心部にセンサを差し込み、内部温度を確認します。 |
| 冷却 | 菌が増えやすい温度帯に長く置かないよう確認する | 中心温度計、温度ロガー | 大量調理後の冷却不足や放冷時間に注意します。 |
| 提供・陳列 | 提供中・販売中の温度を確認する | 放射温度計、中心温度計 | ショーケース、保温設備、売り場での温度ムラに注意します。 |
※具体的な管理温度や確認頻度は、食品の種類、工程、施設の衛生管理計画、業種別手引書などに応じて設定してください。
放射温度計と中心温度計の使い分け
食品現場の温度確認では、測りたい対象によって適した温度計が異なります。表面温度をすばやく確認したい場合は放射温度計、食品内部の温度を確認したい場合は中心温度計が向いています。
| 温度計の種類 | 向いている確認 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 放射温度計 | 食品表面、包装、容器、設備、売り場の表面温度 | 非接触で素早く測定でき、衛生的に確認しやすい | 食品内部の温度は測定できません。放射率や測定距離にも注意が必要です。 |
| 中心温度計 | 加熱後の食品内部、冷却中の食品内部、厚みのある食材 | 食品の中心部の温度を直接確認できる | 食品に差し込むため、使用前後の洗浄・消毒など衛生管理が必要です。 |
使い分けの目安:
食材の受入や売り場確認など「すばやく表面温度を確認したい場面」では放射温度計、加熱調理後や冷却中など「食品内部の温度を確認したい場面」では中心温度計が適しています。
温度確認と記録管理は、衛生管理の見直しにも役立ちます
食品現場では、温度を測るだけでなく、必要に応じて記録を残すことも重要です。温度記録があると、日々の管理状況を確認しやすくなり、温度逸脱が発生した場合の原因確認や改善にも役立ちます。
HACCPに沿った衛生管理では、食品の取扱い工程の中で重要なポイントを管理し、実施状況を記録・保存する考え方が重視されています。温度管理が重要な工程では、現場に合った確認方法と記録方法をあらかじめ決めておくことが大切です。
| 記録項目 | 記録する内容の例 | 活用目的 |
|---|---|---|
| 測定日時 | 日付、時刻、担当者 | いつ、誰が確認したかを把握する |
| 測定場所・工程 | 受入、冷蔵庫、加熱工程、売り場など | 温度管理が必要な工程を明確にする |
| 測定対象 | 食材、調理済み食品、保管庫、ショーケースなど | 確認対象を後から追跡できるようにする |
| 測定温度 | 測定値、基準からの逸脱有無 | 管理状態を確認する |
| 対応内容 | 再加熱、冷却、廃棄、設備確認など | 異常時の対応を記録する |
食品現場で温度計を選ぶときのポイント
食品現場で使う温度計は、測定範囲や精度だけでなく、使いやすさ、清掃しやすさ、防水性、記録のしやすさなども確認して選定することが大切です。
-
何を測るかを決める
食品の表面温度、食品内部の温度、保管庫の温度、売り場の温度など、測定対象を明確にします。 -
どの工程で使うかを決める
受入、保管、加熱、冷却、提供・陳列など、使う場面によって適した温度計が変わります。 -
衛生的に使えるか確認する
食品に接触する温度計では、洗浄・消毒のしやすさ、防水性、材質などの確認が重要です。 -
記録管理に使うか確認する
測定値を手書きで記録するのか、データとして活用するのかを整理しておくと、運用に合った製品を選びやすくなります。 -
用途・条件に合う製品か確認する
食品に直接接触する用途で使用する場合は、対象製品、接触部位、材質、使用条件を確認してください。
食品現場の温度確認に活用できるチノーの温度計
チノーでは、食品現場での温度確認に活用できる温度計を取り扱っています。表面温度をすばやく確認したい場面、食品内部の温度を確認したい場面など、用途に応じてお選びいただけます。
防水形ハンディ放射温度計 IR-TB
IR-TBは、食品や包装、容器、設備、売り場などの表面温度を非接触で確認したい場面に適した放射温度計です。Bluetooth Low Energyに対応しており、測定データの活用にも役立ちます。
- 食材受入時の表面温度確認
- ショーケースや売り場の温度確認
- 包装・容器・設備表面の温度確認
- 非接触で素早く測定したい場面
防水形中心温度計 MF500B
MF500Bは、食品内部の温度確認に活用できる中心温度計です。加熱後の中心温度確認や、冷却工程での内部温度確認など、食品現場の温度管理に役立ちます。Bluetooth Low Energyに対応しており、記録管理の効率化にも活用できます。
- 加熱調理後の中心温度確認
- 大量調理後の冷却状態の確認
- 厚みのある食品や食材の内部温度確認
- 測定値を記録管理に活用したい場面
食品用途でご使用いただく際のご注意
食品に直接接触する用途で使用する場合は、対象製品、接触部位、材質、使用条件をご確認ください。用途や条件によって適用可否が異なるため、詳細は当社までお問い合わせください。
食品用途でのご使用は日本国内向けを前提としています。海外での食品用途については対応しておりません。
よくある質問(FAQ)
食中毒対策で温度管理が重要なのはなぜですか?
食中毒のリスクを下げるためには、食材の受入、保管、加熱、冷却、提供などの各工程で適切に温度を確認することが重要です。温度を測定・記録することで、異常の早期発見や衛生管理の見直しにも役立ちます。
放射温度計だけで食品の安全確認はできますか?
放射温度計は表面温度をすばやく確認するのに便利ですが、食品内部の温度は測定できません。加熱調理後や冷却中の食品内部を確認する場合は、中心温度計を併用することが重要です。
中心温度計はどのような場面で使いますか?
中心温度計は、加熱調理後の食品内部温度や、大量調理後の冷却状態を確認する場面で使います。食品の中心部まで十分に加熱・冷却されているかを確認できるため、食品現場の温度管理に役立ちます。
HACCPでは温度記録が必要ですか?
HACCPに沿った衛生管理では、重要な工程を管理し、実施状況を記録・保存することが重視されています。温度管理が重要な工程では、温度確認と記録を行うことで、衛生管理の見直しや監査対応に役立ちます。
食品現場ではどの温度計を選べばよいですか?
表面温度をすばやく確認したい場合は放射温度計、食品内部の温度を確認したい場合は中心温度計、保管庫や冷蔵庫の温度変化を継続的に確認したい場合は温度ロガーや記録計が向いています。用途に応じて使い分けることが大切です。
食品に接触する用途で使う場合、何を確認すればよいですか?
食品に直接接触する用途では、対象製品、接触部位、材質、使用条件の確認が重要です。用途や条件によって適用可否が異なるため、詳細は当社までお問い合わせください。
まとめ:食中毒対策には、工程に応じた温度確認が重要です
食品現場の温度管理では、食材の受入、保管、加熱、冷却、提供・陳列など、工程ごとに確認すべきポイントがあります。表面温度を確認したい場合は放射温度計、食品内部の温度を確認したい場合は中心温度計を使い分けることで、日々の衛生管理や記録管理に役立ちます。
- 表面温度の確認:食材受入、売り場、設備表面などには放射温度計が便利です。
- 中心温度の確認:加熱後や冷却中の食品内部の確認には中心温度計が適しています。
- 記録管理:測定日時、工程、測定対象、測定温度、対応内容を記録しておくと、衛生管理の見直しに役立ちます。
- 製品選定:食品に直接接触する用途では、対象製品・材質・使用条件をご確認ください。