CQI-9とは?自動車部品の熱処理システム評価で、今何をすべきか

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CQI-9とは?自動車部品の熱処理システム評価で、今何をすべきか

更新日:2026年7月31日

CQI-9への対応を初めて求められた品質保証・生産技術担当の方、これから自動車業界への参入を検討している経営層の方、 そして既にCQI-9対応をしている現場で「そもそもこれは何のためにやっているのか」を理解したい新入社員の方に向けて、 この記事ではCQI-9の基本から、実務で何をすべきか、どこに支援を求めればよいかまでを整理します。

自動車部品の熱処理炉のイメージ

1. そもそもCQI-9とは

CQI-9は、米国の自動車産業団体AIAG(Automotive Industry Action Group)が発行する規格書の一つで、 正式名称を「特殊工程:熱処理システム評価」といいます。英語表記の頭文字からHTSA(Heat Treat System Assessment)とも呼ばれます。

自動車業界には、品質マネジメントシステムの国際規格であるIATF16949があります。CQI-9は、このIATF16949が求める「特殊工程」の管理の中でも、 特に難易度が高いとされる熱処理工程に特化して、評価(監査)の方法をまとめたものです。GM・フォード・ステランティス(旧クライスラー)という米国big3と、 熱処理会社が共同で策定しました。

現在の最新版は2020年6月に発行された第4版です。第3版からは、評価書式の変更、高温測定の報告要求の全面更新、 熱電対の使用期限や交換時期の見直し、アナログ計測機器のデジタル化期限の設定など、実務に直結する変更が加えられています。

2. やらないと供給できないの?

結論から言うと、熱処理工程を持つ自動車部品サプライヤーにとって、CQI-9対応は取引を続ける上での前提条件です。

GM・フォード・ステランティスは、それぞれの「顧客固有要求事項」の中で、該当するサプライヤーに対しCQI-9の利用を義務付けています。 これは、自社で熱処理を行っている場合はもちろん、熱処理工程を外部に委託している場合でも変わりません。 しかも一度対応すれば終わりではなく、少なくとも年1回はCQI-9に基づく自己評価を実施することが求められる、継続的な取り組みです。

対応が不十分な場合、監査での不適合指摘や是正対応の要求につながり、最終的には承認サプライヤーとしての取引継続そのものに 影響する可能性があります。

これから自動車業界への参入を検討している経営層の方にとっては、「良い製品を作れるかどうか」だけでなく 「CQI-9に対応できる品質管理体制を持っているかどうか」自体が、受注の可否を左右する条件になり得るという点を押さえておく必要があります。 対応には、計測機器の見直しや校正体制の整備、記録・報告の仕組みづくりなど一定の投資と準備期間がかかるため、 参入を検討する段階から視野に入れておくことをおすすめします。

3. CQI-9に何が書かれている

評価は大きく4つの区分で構成されています。実務上は、これらがさらに「工程表A」〜「工程表I」という形で細分化されています。

区分 内容
経営管理者の責任及び品質計画 熱処理工程に対する組織としての品質方針・体制の整備
現場及び材料取扱いに対する責任 現場オペレーションと材料の識別・トレーサビリティ
設備 炉・計測機器などハード面の管理
治工具 治工具の管理・校正

対象範囲として明記されているのが、温度センサ、計装システム、熱加工設備、システム精度試験(SAT)、温度均一性検査(TUS)、品質管理です。 この中でも特に、計測機器を扱う現場が押さえておくべき重要なキーワードが「TUS」と「SAT」です。次の章で、これらが実務上何を意味するのかを見ていきます。

4. 実務上対応しないといけないこと

CQI-9への対応として、現場で具体的に求められる主な義務は次の通りです。

  • 熱電対の管理:使用期限や、炉に常駐させる熱電対の交換時期に関する規定を守ること
  • 計測機器の校正:JCSS(ISO/IEC17025適合)による校正証明書を準備すること
  • デジタル化対応:第4版で新たに期限が設定された、アナログ計測装置のデジタル化
  • TUS(温度均一性調査)の実施:炉内の温度にばらつきがないかを定期的に確認する
  • SAT(システム精度試験)の実施:計測システム全体の精度を定期的に検証する
  • 記録の保管:実施記録を残し、監査の際にいつでも提示できる状態にしておく

これらは「一度やって終わり」ではなく、周期を決めて継続的に運用し、記録として蓄積していく必要がある点が実務上のポイントです。

5. 実際にはどのような方法で管理する必要がある?

4章で挙げた義務を、現場でどう運用に落とし込むかを整理します。

炉内に熱電対を複数配置して行うTUS(温度均一性調査)のイメージ
炉内の複数点に熱電対を配置し、設定温度に対するばらつきを確認する(イメージ)

TUSの運用

炉内の複数のポイントに熱電対を配置し、設定温度に対して各ポイントがどれだけばらついているかを測定・記録します。 炉のクラス(温度均一性の許容範囲)によって、配置すべき点数や許容誤差が変わるため、自社の炉がどのクラスに該当するかを 把握しておくことが出発点になります。

SATの運用

基準となる計測器と、現場で実際に使っている計測システムとを定期的に比較し、差がどの程度あるかを検証します。

記録・レポートの一元管理

紙のチャート紙による記録から、デジタルデータでの記録・保管への移行が求められる流れにあります。属人的な管理のままだと、 担当者の異動や退職時に対応が滞るリスクがあるため、誰が見ても同じように運用できる仕組み作りが重要です。

周期の根拠を残す

校正周期や熱電対の交換時期は、決めた数値そのものよりも「なぜその周期にしたのか」を自社で説明できることが監査では重視されます。 使用頻度、使用環境、要求精度、過去の校正結果などをもとに、根拠を残しておく運用にしておくと安心です。 (校正周期の考え方については 校正周期はどう決める? もあわせてご覧ください)

6. どこに支援を求めるべき?

CQI-9対応をすべて自社だけで完結させようとすると、専門知識の習得、機器への投資、日常的な運用工数など、負担が小さくありません。 無理に内製化にこだわらず、外部の力を適切に借りることも選択肢に入れて検討することをおすすめします。

支援先 01

計測機器・校正の専門メーカー

センサ・記録計・校正サービスを一括して相談できる先です。

支援先 02

セミナー・教育機関

CQI-9やIATF16949の解説、監査対応を扱うセミナーです。

支援先 03

TUS/SAT代行サービス

調査・試験の実施そのものを代行・支援するサービスです。

支援先 04

自社での切り分け

どこまでを内製化し、どこから外部委託するかを最初に整理します。

7. チノーが支援できること

チノーは、CQI-9第4版の要求仕様に対応できる製品・サービスを提供しています。

  • PDFチャートグラフィックレコーダ:紙のチャート紙運用からのスムーズな切り替えを支援し、デジタル化要求に対応します
  • CQI-9対応の熱電対:ASTM-SP級の熱電対を準備しています
  • JCSS校正証明書の発行:ISO/IEC17025に適合した校正証明書の発行、出張校正への対応が可能です
  • TUSレポート作成ソフト:温度均一性調査の報告書作成を支援します
  • 高精度な補正機能:機器・センサそれぞれ最大16点の折れ線補正により、要求精度への対応が可能です
  • 校正工数の低減:独自の校正点自動登録機能により、日常的な校正業務の負担を軽減します
  • 調節計による温度制御:過熱防止や安定した温度制御が必要な場合にも対応します

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測定対象、現状の機器構成、対応期限などをもとに、CQI-9第4版に対応できる体制づくりをご提案します。

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よくある質問

Q1

TUSとSATは何が違いますか?

TUSは炉内の温度にばらつきがないかを確認する調査、SATは計測システム全体の精度を検証する試験です。どちらもCQI-9で要求される、性質の異なる検証項目です。

Q2

熱処理を外部委託していてもCQI-9は関係ありますか?

関係します。自社で熱処理を行っているか外部委託しているかにかかわらず、熱処理工程を持つサプライチェーン全体がCQI-9の対象となり得ます。委託先がCQI-9に対応しているかを確認・管理する立場としても関わってきます。

Q3

第3版から第4版で何が変わりましたか?

カバーシートの書式変更、HTSA(熱処理システム評価)の書式変更、高温測定の報告要求の全面更新、熱電対の使用期限・交換時期の変更、アナログ計測装置のデジタル化期限の設定、校正・SAT・TUSの要求事項変更などが主な変更点です。

Q4

材料メーカーもCQI-9の対象になりますか?

基本的には対象外です。CQI-9は素材そのものの成分や機械的性質を評価する規格ではなく、熱処理という「工程」を評価する規格のためです。ただし、材料メーカーが自社で焼鈍や調質などの熱処理まで行っている場合は、その工程についてCQI-9の対象になり得ます。

Q5

対応にはどれくらいの期間がかかりますか?

現状の計測機器やデータ管理体制がどこまでCQI-9の要求水準に達しているかによって大きく異なります。まずは自社の炉・熱電対・記録方法が第4版の要求とどれだけギャップがあるかを洗い出すところから始めることをおすすめします。

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