Chapter 1
露点温度とは?
露点温度とは、 空気中に含まれる水蒸気量を変えずに温度を下げていったとき、 相対湿度が100%となる温度です。
さらに温度が下がると、 空気中に気体として存在していた水蒸気の一部が 液体の水へ変化します。 これが結露です。
気象庁では露点温度を、 水蒸気圧を一定にして温度を下げたときに 相対湿度が100%となり、 空気中の水蒸気が凝結して露を結ぶ温度としています。
具体例で考えてみましょう
例えば、室内の空気が 25℃・相対湿度60% だったとします。
この空気の露点温度は、 一般的な近似計算では 約17℃です。
つまり、空気そのものが25℃でも、 その空気に触れている金属や窓ガラスなどの表面が 約17℃以下まで冷えると、 表面に結露が生じる可能性があります。
空気温度25℃ > 露点温度約17℃
空気中ではまだ結露していません。
表面温度が約17℃以下
冷たい表面付近の空気が露点に達し、
結露する可能性があります。
Chapter 2
露点温度と湿度・相対湿度は何が違う?
「湿度」と「露点温度」は、 どちらも空気中の水分状態を表すために使われますが、 表している内容が異なります。
| 指標 | 何を表す? | 単位 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 相対湿度 | その温度で飽和する水蒸気量に対して、 現在どの程度の水蒸気を含んでいるか | %rh | 室内環境、空調、一般的な温湿度管理 |
| 露点温度 | 現在の水蒸気量のまま空気を冷やしたとき、 飽和して結露し始める温度 | ℃ | 結露対策、乾燥管理、圧縮空気、 工程管理 |
相対湿度は温度によって変わる
相対湿度を理解するときに重要なのは、 同じ水蒸気量でも温度が変わると相対湿度が変わる ことです。
空気を冷やすと、 その温度で飽和する水蒸気量が少なくなるため、 水蒸気量がほぼ同じでも相対湿度は上昇します。
そして相対湿度が100%になる温度が露点温度です。
相対湿度は 「今の温度に対してどのくらい湿っているか」、 露点温度は 「どこまで冷えると結露するか」 と考えると違いを理解しやすくなります。
相対湿度や絶対湿度について詳しく知りたい方は、 「湿度とは?」 もご覧ください。
Chapter 3
露点温度が高い・低いとはどういうこと?
露点温度が高いということは、 一般に空気中に含まれている水蒸気量が多いことを意味します。
反対に露点温度が低い場合は、 空気中の水蒸気量が少ない状態です。
露点温度が高い
空気中の水分が多い状態です。 物体表面が少し冷えただけでも 露点温度に近づく場合があります。
露点温度が低い
空気中の水分が少ない状態です。 乾燥空気や圧縮空気などでは、 低い露点温度が管理指標として使われます。
米国National Weather Serviceも、 露点温度が高いほど 空気中の水分量が多いことを示す指標として説明しています。
Chapter 4
露点温度はどうやって計算する?
露点温度は、 空気温度と相対湿度から近似的に求めることができます。
実務や気象分野では複数の計算方法がありますが、 比較的扱いやすい方法の一つが Magnus型の近似式です。
空気温度を T(℃)、 相対湿度を RH(%) とすると、 一例として次の近似式を利用できます。
γ = ln(RH / 100) + 17.625 × T / (243.04 + T)
露点温度 Td = 243.04 × γ / (17.625 − γ)
このMagnus型近似は、 飽和水蒸気圧と温度の関係を近似する方法の一つです。 AlduchovとEskridgeによる改良式などが知られています。
25℃・60%rhの場合
空気温度25℃、相対湿度60%rhを 上記の近似式に入れると、 露点温度は約16.7℃になります。
したがって、 その空気に触れている物体の表面温度が 約16.7℃以下になると、 結露が生じる可能性があります。
この計算式は一般的な近似計算です。 高精度な測定、特殊な温度・圧力条件、 校正・品質保証用途などでは、 使用する測定器や演算方式の仕様を確認してください。
Chapter 5
温度・湿度から見る露点温度の目安
空気温度と相対湿度が変わると、 露点温度も変わります。 以下はMagnus型近似式によるおおよその値です。
| 空気温度 | 40%rh | 50%rh | 60%rh | 70%rh | 80%rh |
|---|---|---|---|---|---|
| 10℃ | 約-3℃ | 約0℃ | 約3℃ | 約5℃ | 約7℃ |
| 15℃ | 約2℃ | 約5℃ | 約7℃ | 約10℃ | 約12℃ |
| 20℃ | 約6℃ | 約9℃ | 約12℃ | 約14℃ | 約17℃ |
| 25℃ | 約11℃ | 約14℃ | 約17℃ | 約19℃ | 約21℃ |
| 30℃ | 約15℃ | 約18℃ | 約21℃ | 約24℃ | 約26℃ |
※値は一般的なMagnus型近似式による概算値です。 測定・品質管理上の保証値ではありません。
例えば25℃・50%rhなら露点温度は約14℃ですが、 同じ25℃でも80%rhになると約21℃です。 湿度が高いほど、 物体表面がそれほど冷えていなくても 結露条件に近づくことが分かります。
Chapter 6
露点温度と結露にはどんな関係がある?
結露を理解するうえで重要なのは、 空気温度ではなく「物体の表面温度」 にも注目することです。
例えば、室温が25℃でも、 冷たい飲み物を入れたコップの表面は 25℃より大幅に低くなります。
コップ表面付近の空気が冷やされ、 表面温度が露点温度以下になると、 空気中の水蒸気が水滴となって表面に現れます。
| 表面温度と露点温度 | 状態の考え方 |
|---|---|
| 表面温度 > 露点温度 | 結露しにくい状態 |
| 表面温度 ≒ 露点温度 | 結露条件に近づいている |
| 表面温度 ≦ 露点温度 | 結露が発生する可能性が高い |
したがって結露対策では、 「湿度を○%以下にする」だけでなく、 表面温度を露点温度より高く保てているか を確認する方法があります。
Chapter 7
結露リスクは「表面温度-露点温度」で考える
工場などで結露を予防的に監視する場合、 露点温度だけを見るのではなく、 結露させたくない物体の表面温度と比較すると 状態を判断しやすくなります。
結露までの温度差 = 表面温度 − 露点温度
この差が大きければ、 現在の状態から露点まである程度の余裕があります。
反対に差が小さくなるほど、 表面温度の低下や湿度上昇によって 結露条件に達する可能性が高まります。
例:金属製品が18℃、露点温度が17℃なら?
金属製品温度18℃、 露点温度17℃の場合、 温度差はわずか1℃です。
この状態で金属製品がさらに冷えたり、 空気中の水分量が増えて露点温度が上昇したりすると、 結露条件に達する可能性があります。
「何℃差なら安全か」という一律の基準があるわけではありません。 対象製品、材質、表面状態、 環境変化の速度、異常時に対応するまでの時間などを考慮し、 現場ごとに管理基準を設定します。
実際の金属製品の結露監視については、 「金属製品の結露対策」 で具体的なシステム構成例を紹介しています。
Chapter 8
露点温度はどこで使われる?
露点温度は天気だけでなく、 製造、品質管理、設備管理など さまざまな産業分野で利用されています。
金属製品の結露対策
金属表面温度と露点温度を比較し、 錆や腐食につながる結露リスクを監視します。
空調・クリーンルーム
冷却面や配管などで結露が生じないよう、 温湿度と露点温度を管理します。
乾燥工程
空気中に残る水分の状態を把握し、 乾燥状態や工程条件の管理に利用します。
圧縮空気
配管内部などで水分が凝縮しないよう、 圧縮空気の乾燥状態を確認する指標として 露点が利用されます。
医薬品・食品
製造・保管環境における 湿度や結露リスクの管理に活用される場合があります。
恒温恒湿・環境試験
試験環境の水分状態を把握し、 必要な温湿度条件を管理するために利用します。
Chapter 9
露点温度はどうやって測る・求める?
露点温度を把握する方法は、 用途や求める精度によって異なります。
温度・相対湿度から演算する
温度と相対湿度を測定し、 その値から露点温度を計算します。
一般的な環境監視や結露監視などで利用できます。
露点温度出力対応の温湿度計を使う
温度・湿度の測定値から 機器内部で露点温度を演算し、 表示・出力する機器もあります。
露点計を使う
低露点領域や圧縮空気など、 用途によっては露点測定に適した専用方式を使用します。
システムで継続監視する
温湿度と対象物温度を継続収集し、 露点温度や温度差を演算して 結露リスクを監視する方法があります。
チノーの温湿度計には、 相対湿度だけでなく、 温度・露点温度を出力できる機種があります。 用途や温度範囲、圧力条件などに応じて選定します。
Chapter 10
露点温度を管理するときの注意点
| 確認項目 | なぜ重要? |
|---|---|
| 測定位置 | 同じ室内でも、 空調、外気、設備などの影響で 温湿度が異なる場合があります。 |
| 表面温度 | 結露対策では、 空気温度だけでなく 対象物の表面温度が重要です。 |
| 湿度センサの精度 | 露点温度を温度・湿度から演算する場合、 元となる測定値の誤差が演算結果に影響します。 |
| 応答速度 | 急激な温湿度変化がある環境では、 センサの応答が管理に影響します。 |
| 校正 | 長期的に測定値を管理へ利用する場合、 センサの状態を定期的に確認する必要があります。 |
| 使用環境 | 高温、高湿、結露、粉じん、 圧力などに対応できる機器か確認します。 |
特に結露監視では、 湿度センサ自体を長時間結露させると 測定性能へ影響する場合があります。 使用するセンサの仕様・使用条件を確認してください。
FAQ
露点温度についてよくある質問
露点温度とは簡単にいうと何ですか?
今の空気を冷やしていったときに、 水蒸気が水滴になり始める温度です。 相対湿度が100%になる温度ともいえます。
露点温度と湿度は同じですか?
同じではありません。 相対湿度は現在の温度に対する水蒸気の割合を%で表し、 露点温度は現在の水蒸気量で 結露が始まる温度を℃で表します。
露点温度が高いとどうなりますか?
一般に空気中の水蒸気量が多い状態を意味します。 対象物の表面温度が露点温度に近い場合は、 結露リスクにも注意が必要です。
湿度100%になると必ず結露しますか?
相対湿度100%は空気がその温度で飽和した状態です。 さらに冷却されたり、 冷たい物体表面に接したりすると、 水蒸気が凝結して水滴が生じます。
湿度が何%なら結露しますか?
湿度だけでは一律に決まりません。 空気温度と相対湿度から露点温度を求め、 結露させたくない物体の表面温度と比較する必要があります。
25℃・50%rhの露点温度は何℃ですか?
一般的なMagnus型近似式では約14℃です。 したがって、その空気に触れる物体の表面温度が 約14℃以下になると結露する可能性があります。
25℃・60%rhの露点温度は何℃ですか?
一般的なMagnus型近似式では約16.7℃です。 おおよそ17℃と考えると分かりやすいでしょう。
結露を防ぐにはどうすればよいですか?
基本的には、 対象物の表面温度を露点温度より高く保つ、 除湿によって露点温度を下げる、 急激な温度変化を抑えるなどの方法があります。 実際の対策は対象物や設備条件によって異なります。
露点温度は温湿度計で分かりますか?
温度・相対湿度から露点温度を演算できます。 温湿度計の中には、 露点温度を演算して表示・出力できる機種もあります。
まとめ
露点温度が分かると「いつ結露するか」が見えてくる
露点温度とは、 空気を冷やしたときに相対湿度が100%となり、 水蒸気が凝結し始める温度です。
相対湿度だけでは、 「対象物が何℃になったら結露するか」は直接分かりません。 露点温度を求め、 対象物の表面温度と比較することで、 結露リスクをより具体的に判断できます。
特に工場では、 金属製品、配管、空調設備、 クリーンルーム、乾燥工程などで 露点温度が重要な管理指標になります。
相対湿度 = 今の温度に対してどの程度湿っているか
露点温度 = 何℃まで冷えると結露し始めるか
表面温度 − 露点温度 = 結露条件までの余裕を見る一つの考え方
Reference
露点温度をさらに詳しく知りたい方へ
露点温度の定義や気象分野での扱いについては、 公的機関・専門機関の情報も参考になります。
- 気象庁「気温、湿度」
- NOAA / National Weather Service「Dew Point」
- NOAA / National Weather Service「Dewpoint and Wet-bulb from Relative Humidity」
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結露を防ぎたい対象物、 使用温度・湿度範囲、 測定場所、 連続監視の必要性などによって、 適した測定方法は変わります。
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