まずは結論!SDカードの種類と特徴が一目でわかる比較表
| 規格名 | 容量 | ファイルシステム | 転送速度 | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| SDカード | ~2GB | FAT16 | 最大25MB/s | 音楽プレイヤー、古いデジカメ | 基本的な規格。 対応機器は多いが今は稀。 |
| SDHCカード | 4GB~32GB | FAT32 | 最大104MB/s | 一般的なデジカメ、フルHD動画 | 標準タイプ。 コスパ重視。 |
| SDXCカード | 32GB~2TB | exFAT | 最大312MB/s | 4K動画、一眼レフ、ミラーレス | 大容量・高速。 高画質撮影の主流。 |
| SDUCカード | 2TB~128TB | exFAT | 最大624MB/s | 8K動画、業務用・産業用 | 次世代の超大容量規格。 プロ向け。 |
| SD Expressカード | 最大128TB | exFAT | 最大4GB/s | 業務用8K撮影、高速データ処理 | SSD並みの超高速転送。 対応スロットが必要。 |
- 「最大転送速度」は製品により差があります。連続記録や動画用途は「最低保証速度(スピードクラス)」を優先してください。
- 最初に見るべきは互換性(対応規格)です。速度や容量は、その次の判断でOKです。
【重要】購入前に必ずチェック!(失敗回避の3ステップ)
-
機器の対応規格を確認
取扱説明書・仕様表・メーカーサイトで「SD/SDHC/SDXC…」の対応範囲を確認します。 -
用途に必要な最低速度(スピードクラス)を決める
動画/連続書き込み/連写など「途切れると困る」用途は、U3/V30など余裕を持ったクラスを推奨します。 -
容量とファイルシステム(FAT32/exFAT)を確認
PCや社内環境の制約(媒体制限等)も含め、読み書きできる前提を揃えます。
SDカードには上位互換性がありません。
例えば、「SDHC対応」の機器で「SDXCカード」は使えません。
【規格別】SDカードの種類とそれぞれの違い
1. SD(SC)カード (Standard Capacity)
黎明期を支えた基本の規格です。
- 容量:最大2GB
- ファイルシステム:FAT16
-
特徴:容量が小さく、現在ではほとんど生産されていません。
古いデジカメや携帯オーディオプレイヤーなど、ごく一部のレガシーデバイスで利用されます。
幅広い機器で認識される互換性の高さが最後の砦です。
2. SDHCカード (High Capacity) - 迷ったらコレ!な標準規格
「HC」はHigh Capacity(大容量)の略。SDカードの使い勝手を大きく向上させ、広く普及しました。
- 容量:4GB ~ 32GB
- ファイルシステム:FAT32
-
特徴:日常的な写真撮影やフルHD(1080p)動画の録画に十分な容量と性能を持ちます。
価格と性能のバランスが良く、現在でも多くの機器で標準的に採用されています。
一般的な用途であれば、まずこのSDHCカードで問題ないでしょう。
3. SDXCカード (Extended Capacity) - 4K動画や高画質写真の必需品
「XC」はExtended Capacity(拡張容量)を意味し、4K動画や高画素カメラの普及に伴い主流となった規格です。
- 容量:32GB ~ 2TB
- ファイルシステム:exFAT
-
特徴:4K動画のような巨大なファイルも扱える「exFAT」ファイルシステムを採用。
大容量データの高速転送に対応しており、一眼レフでの高速連写や高画質な動画撮影には必須の選択肢です。
4. SDUCカード (Ultra Capacity) - 8K時代を見据えたプロ向け規格
「UC」はUltra Capacity(超大容量)の略。プロフェッショナルや産業用途を見据えた、未来の規格です。
- 容量:2TB ~ 128TB
- ファイルシステム:exFAT
-
特徴:8K映像の長時間記録や、膨大なデータを扱うサーバーなどで利用が想定されています。
対応機器はまだ限定的で非常に高価なため、一般ユーザーが選択肢に入れることは稀です。
5. SD Expressカード - SSDに匹敵する超高速転送
従来のSDカードの形状はそのままに、データ転送の仕組み(インターフェース)にPC向けストレージと同じ「PCIe/NVMe」を採用した規格です。
- 容量:最大128TB(SDXC/SDUCに準拠)
- ファイルシステム:exFAT
-
特徴:最大4GB/s近い転送速度を実現します。
性能を最大限に引き出すには、専用のSD Express対応スロットが必要です。
【重要】速度はどう見る?スピードクラスを理解しよう(最低保証速度)
容量と並んで重要なのが「転送速度」です。特に動画撮影や連続書き込みでは「最低保証速度」が重要になり、その指標が「スピードクラス」です。
| クラスの種類 | 表記例 | 最低保証速度 | 用途の目安 |
|---|---|---|---|
| スピードクラス | C10 | 10MB/s | フルHD動画 |
| UHSスピードクラス | U1 / U3 | 10MB/s / 30MB/s | 4K動画(U3以上推奨) |
| ビデオスピードクラス | V10~V90 | 10MB/s~90MB/s | 高ビットレート動画 |
| アプリパフォーマンスクラス | A1 / A2 | − | アプリ起動、データ保存 |
- フルHD中心なら:Class10(C10)またはU1 / V10以上。
- 4K動画なら:U3 / V30以上を選ぶと安心です。
- スマートフォンで使うなら:A1/A2表記があると快適です。
工場・計測/記録用途:選定と運用のポイント(トラブル回避)
工場設備や計測・記録用途では、民生PCと違い「大容量規格は動作保証外」「連続書き込みで安定性が重要」など、
“使える/使えない”の判断基準が変わることがあります。以下の観点で手戻りを減らせます。
実際に多いのは、「産業用SDカードを買った方が良いか?」、というケースです。
ポイント1:機器仕様の「対応規格/容量」が最優先
まずは対応範囲を確定し、その範囲内で容量と速度を決めます(上位互換がないため)。
ポイント2:抜き差し運用とデータ保全(破損/欠損)
- 記録停止後に取り外す(記録中の抜き差しは破損リスク)
- 定期バックアップ(媒体は消耗品として扱う)
- 媒体のラベリング(使用開始日/回収日/用途)で取り違え防止
ポイント3:PC/社内環境の制約(FAT32/exFAT・媒体制限)
exFAT非対応、媒体持込制限、セキュリティポリシー等で読み出しが止まるケースがあるため、運用環境も含めて整合を取ります。
【目的別】あなたにピッタリなSDカードの選び方
| 用途 | 推奨規格 | 容量目安 | 速度クラス | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 一般写真 | SDHC/SDXC | 16GB~64GB | Class10/U1 | 1,000~3,000円 |
| 4K動画・連写 | SDXC | 64GB~256GB | U3/V30 | 3,000~15,000円 |
| スマホ | microSDXC | 64GB~256GB | A1/A2 | 2,000~8,000円 |
| ドライブレコーダー | SDHC/SDXC | 32GB~128GB | Class10/U1 | 2,500~10,000円 |
| 工場・計測/記録用途 | 機器仕様に準拠 | 運用(回収頻度)で最適化 | 連続書き込みなら余裕を持つ | — |
| プロ用 (8Kなど) | SDXC/SDUC/SD Express | 256GB~ | V60/V90 | 15,000円~ |
※価格はあくまで目安です。用途・ブランド・速度クラスにより変動します。
よくある質問(FAQ)
SDHC対応の機器でSDXCは使えますか?
使えません。SDカードは上位互換がないため、機器が対応する規格までのカードを選んでください。
SDXCはなぜ注意が必要ですか?
SDXCはexFATを採用しており、機器側がexFAT/SDXCに対応していないと認識できない場合があります。
速度は「最大○○MB/s」だけ見れば良いですか?
動画・連続書き込み用途では、最低保証速度(U3/V30など)を優先してください。最大値だけでは途切れのリスクを判断できません。
計測・記録用途でトラブルを減らすコツは?
対応規格/容量の確認、記録停止後の取り外し、定期バックアップ、媒体ラベリングなど運用ルール化が有効です。
まとめ:最高のパフォーマンスを引き出すための最終チェック
SDカード選びは、「①機器が対応する規格」「②用途に合った容量と速度」の2つを確認することが全てです。
- まずは互換性を確認:
取扱説明書で対応規格(SDHC/SDXCなど)を必ずチェックしましょう。 - 次に用途を考える:
写真中心か、4K動画/連続書き込みかで必要な容量と速度は大きく変わります。 - 迷ったら少し上のスペックを:
将来的な使い方を考えてワンランク上の容量や速度を選ぶのも有効です。