中高生のための「半導体」超入門——読むだけでつながる世界としくみ
「半導体とは?」の素朴な疑問に、半導体 仕組み・半導体 役割・半導体 なぜ必要?を言葉の図解でやさしく解説。
PN接合やMOSFET、スマホの“言葉の分解図”、製造工程、IC/LSI/チップの違い、検索のコツ、用語集も網羅。
近年の半導体不足では、自動車やゲーム機の生産にも影響が出ました。
つまり、半導体=社会の見えない心臓。
今なぜ学ぶのか、理由から入門します。
1. 半導体ってそもそも何?(語源から入る基本)
物質の電気の通りやすさで分類すると、導体(よく通す)/絶縁体(ほとんど通さない)/半導体(条件次第で通し方を切り替えられる)の3つ。キーワードはバンドギャップとドーピング。
- 導体=常にゲート開放の高速道路(例:銅)
- 絶縁体=ゲート常時閉鎖(例:ガラス)
- 半導体=光・熱・電圧・ドーピングでゲート開閉を制御できる(例:シリコン)
2. どこで使われているの?(身近な“言葉の分解図”)
半導体は、スマホ・PC・家電・自動車・医療機器・工場設備まで、社会の“見えない心臓”です。
スマートフォンの言葉の分解図(中高生向け)
メイン基板(緑の板)=電子部品のまち。
- 中央の黒い四角(PoP):下がSoC(ロジック)、上に重ねたパッケージがDRAM(PoP)
- 銀色の箱(シールド缶)の下:電源ICやRFフロントエンド
- カメラ横の黒いチップ:CMOSイメージセンサ
- 下部の細長い基板:充電/オーディオ、パワー半導体が並ぶ
自動車(特にEV)の言葉の分解図
- 大型アルミ箱:インバータ(中にSiC MOSFET)
- 充電口の奥:車載充電器(GaN HEMT採用例)
- 各センサ:カメラ、ミリ波レーダー、超音波(それぞれ半導体が“目と耳”)
3. どうやって動く?(PN接合の言葉の図解)
P型とN型:性格の違う双子
微量な不純物(ドーピング)で性質を変える:N型は電子が多い、P型は電子の“空席”(正孔)が多い。
PN接合:境界に生まれる「見えない関所」
空乏層の言葉の図解
- 出会って消える:境目で電子と正孔が再結合 → キャリアが減る
- 関所ができる:境目に“空乏層”という見えない壁ができる
- 電気のバリア:内部電界が“これ以上は通さないよ”と押し返す
順方向(P側+N側−):壁が薄くなる→水位差(電圧)で水が押し出され、水門が開くように電流が流れる。
逆方向(P側−N側+):壁が厚くなる→堰(せき)が高くなり、ほぼ流れない。
- ダイオード=一方向の逆止弁
- LED=順方向で再結合の光が出る(色はバンドギャップで決まる)
- 太陽電池=光でキャリアを作り、内部電界で引き離して発電
4. ダイオード/トランジスタ(MOSFETは“蛇口と水路”)
MOSFETの言葉の図解
OFF:川(ソース)と湖(ドレイン)の間に堰があり、水(電子)が通れない。
ON:ゲート電圧で地面が凹み、水路(チャネル)が現れて水が一気に流れる。
ポイント:ゲートは絶縁されていて、押す力(電圧)だけで水門を操作=低消費電力。
メモ:0と1(デジタル)の作り方
電圧が高い/低いを1/0に見立て、MOSFETで組み合わせると論理演算(NOT/AND/OR)ができる。
5. 材料の違い(なぜシリコン以外も?)
材料 | バンドギャップ(eV) | 得意分野 | 用途 |
---|---|---|---|
Si | 1.1 | 汎用 | CPU/メモリ |
GaAs | 1.4 | 高速・高周波 | 無線 |
SiC | 3.3 | 高耐圧・高温 | EV/電力変換 |
GaN | 3.4 | 高速・小型 | 充電器/基地局 |
6. 半導体の種類(ロジック/メモリ/アナログ/パワー/センサー)
- ロジック:CPU/SoC(演算と制御)
- メモリ:DRAM/NAND(記憶)
- アナログ:オペアンプ・A/D・電源IC(実世界の信号)
- パワー:MOSFET/IGBT/SiC/GaN(大電力制御)
- センサー:光・温度・圧力・加速度など
産業の作り方:計測(センサー)→変換(アナログ/A-D)→判断(ロジック)→駆動(パワー)。
産業の役割分担:設計する会社(ファブレス)と、作る会社(ファウンドリ)が分かれている場合があります。設計から製造まで一貫のIDMもあります。
7. どう作られる?(前工程→後工程)
インゴット→ウェーハ→前工程(薄膜・露光・エッチング・ドーピング)→配線→後工程(ダイシング・封止・検査)。
高温プロセス(CVD・酸化・拡散・アニール)では±1℃の違いが膜質・歩留まりに影響。CHINOは半導体製造装置向け高精度温度センサーを提供しています。
8. IC/LSI/チップ/半導体素子の違い
- 半導体素子:ダイオードやトランジスタ等基本部品の総称
- IC(集積回路):素子を多数まとめて1つの回路にしたもの
- LSI:Large-Scale Integration=大規模集積のIC(VLSI/ULSIも)
- チップ/ダイ:ウェーハから切り出した半導体本体(パッケージ前)
- パッケージ:チップを保護し、足を付けて使いやすくした形
言い換え関係:IC ⊂ LSI(LSIは“大規模なIC”)/チップ=ダイ(パッケージ前の本体)。
9. 技術動向(微細化・チップレット・パワー半導体)
- 微細化+GAA:より短い水路で速く・省エネ
- チップレット:用途別小さな“まち”を後で接続
- 先端パッケージ:2.5D/3Dで最短経路
- SiC/GaN:高耐圧・高温で電力革命
10. 半導体を作った人たち
トランジスタ誕生秘話(1947年)
- ベル研究所の3人の研究者
- 「点接触型」から「接合型」への進化
- 真空管からトランジスタ革命へ
ムーアの法則とインテルの挑戦
- 1965年、ゴードン・ムーアの予言
- 「2年で2倍」は本当に続くのか?
- 微細化の限界と新技術への挑戦
11. 数字で驚く半導体ワールド
スマホの中の半導体たち
- iPhone: 約200億個のトランジスタが動作中
- 1秒間に行う計算回数: 約1兆回
- 消費電力: 白熱電球の1/100以下
製造工程のすごい精度
- 1つのウェーハに入るチップ数: 数百個
- 1個の不良も許されない精度: 99.9999%
- クリーンルーム: 空気1㎥に0.5µm以上の粒子が10個以下
12. 半導体の未来と君の未来
10年後の半導体技術
- 量子コンピュータ用半導体
- 脳型コンピュータ(ニューロモーフィック)
- 光半導体でデータ高速化
半導体業界で働くには
- 設計エンジニア: 回路を考える人
- プロセスエンジニア: 製造方法を開発
- 装置エンジニア: 製造装置を作る
- 営業・マーケ: 技術を世界に届ける
大学で学ぶなら
- 電気電子工学科 / 材料工学科 / 物理学科 / 化学工学科
13. よくあるつまずきポイント
「電流と電子の向きが逆?」
- 電流は「+から−」、電子は「−から+」
- 歴史的な定義の問題
- 実際の動きと約束事の違いを理解
「P型に電子が少ないのになぜ電気を通す?」
- 正孔も電荷を運ぶキャリア
- 「電子の空席」が移動することで電流に
- リレー競走の「バトンパス」に例えて説明
14. Q&A:半導体とは?仕組み?役割?なぜ?(検索キーワード対応)
- Q1. 半導体とは?(中学生でもわかる)
- 導体と絶縁体の中間の性質で、条件で通し方を切替できる素材。だからスイッチや計算ができる。
- Q2. 半導体の仕組み(超ざっくり)
- 境界(PN接合)に見えない壁(空乏層)ができ、電圧の向きで水門の開け閉めのように電流が変わる。
- Q3. 半導体の役割(何に使う?)
- スマホ・自動車・電力・医療……測る→考える→動かすの全工程で使われる。
- Q4. なぜ必要?(なぜ今も進化?)
- 省エネ・安全・便利さの鍵。より小さく・より賢く・より効率的を支えるから。
15. 検索のコツ&情報の見分け方(高校生・中学生の調べ学習向け)
おすすめ検索ワード
- 「半導体 とは」「半導体 仕組み」「半導体 役割」「半導体 なぜ」
- 「PN接合 わかりやすく」「MOSFET 仕組み 図解」「半導体 中高生 向け」
信頼性チェック
- 発行日・出典・著者所属を確認。過度に煽る表現は注意。
16. 用語ミニ集
- バンドギャップ
- 価電子帯と伝導帯の差。大きいほど高耐圧・高温。
- ドーピング
- 微量不純物で性質調整(P/N型)。
- PN接合 / 空乏層
- 境界にできる見えない壁。電圧で厚さが変わる。
- MOSFET / CMOS
- ゲート電圧で水路を作り、電流を流す/止める。
- IC / LSI / チップ
- IC=集積回路、LSI=大規模なIC、チップ=パッケージ前の本体。
- ファブレス / ファウンドリ / IDM
- 設計のみ / 製造受託 / 一貫企業。
17. つながる実社会:計測・制御の視点
工場では、計測(センサー)→変換(アナログ/A-D)→判断(ロジック)→駆動(パワー)のループが命。温度安定は良品率とエネルギー効率に直結。
時間ない方向けまとめ資料
いかがでしたか? 株式会社チノーはプロセス温度監視から 装置制御用センサーまで提供しています。
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