Chapter 1
JCSS校正とは
JCSSは「Japan Calibration Service System」の略称で、 計量法に基づく計量法トレーサビリティ制度です。 NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)が、 校正事業者登録制度を運営しています。
登録・認定された校正事業者は、 登録された校正対象や範囲についてJCSS校正を行い、 JCSS標章や認定シンボル付きの校正証明書を発行できます。
国家計量標準へのトレーサビリティ
JCSS標章や認定シンボル付きの校正証明書によって、 校正結果が国家計量標準へトレーサブルであることを示せます。
校正事業者の技術能力
登録・認定された校正事業者が、 定められた要求事項と登録範囲に基づいて校正を実施します。
国際MRAへの対応
国際MRA対応認定を受けた校正機関では、 国際的な相互承認の枠組みに対応した校正証明書を発行できます。
JCSSだから、あらゆる測定器・校正条件に対応できるわけではありません。 校正事業者ごとに登録・認定されている校正対象、範囲、条件を確認する必要があります。
Chapter 2
一般校正とは
一般校正は、JCSSの登録・認定の枠組みによらず、 校正事業者が定めた標準器、方法、手順などに基づいて実施する校正を指す場合に使われる言葉です。
「一般校正」という統一された制度が存在するわけではないため、 校正内容や証明書の記載事項は、校正事業者やサービスによって異なります。
一般校正でもトレーサビリティを確認できる場合がある
JCSSでないからといって、 必ずしもトレーサビリティが確保されていないという意味ではありません。 校正に使用する標準器がどの標準へつながっているのか、 どのような校正体系になっているのかを確認することが重要です。
一般校正を依頼するときは、 「一般校正だから十分」と判断するのではなく、 必要な校正範囲、証明書、トレーサビリティ、不確かさなどの要件を確認してください。
Chapter 3
チノー校正とは
チノーでは、当社で行う校正試験として、 JCSS校正試験とは別に、当社の基準で行う「チノー校正」を提供しています。
JCSS校正試験では、校正対象や試験項目、校正条件などが 登録・認定された範囲によって定められています。 一方、それ以外の校正対象や試験項目については、 チノー校正として対応できる場合があります。
温度センサ
白金測温抵抗体や熱電対について、 比較校正や定点校正などを行っています。
指示計との組み合わせ
測温抵抗体・熱電対と指示計を組み合わせた校正にも対応しています。
放射温度計
放射温度計についても、 対象や校正条件に応じたチノー校正を行っています。
湿度計・露点計
電子式湿度計や露点計についても、 対象に応じた校正試験を用意しています。
Chapter 4
JCSS校正・一般校正・チノー校正の関係
ここで注意したいのは、 JCSS校正・一般校正・チノー校正が、 制度上まったく同じレベルの3分類ではないことです。
JCSSは計量法に基づく制度です。 一般校正はJCSSの枠組みによらない校正を表す一般的な呼び方で、 チノー校正はその中でチノーが当社基準に基づいて提供している具体的な校正サービスです。
| 項目 | JCSS校正 | 一般校正 | チノー校正 |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 計量法に基づくJCSS制度の校正 | JCSSの制度によらない校正の一般的な呼び方 | チノーが当社基準で行う校正 |
| 実施範囲 | 登録・認定された校正対象・範囲・条件 | 校正事業者・サービスによって異なる | チノーが定める校正対象・試験項目 |
| 国家計量標準へのトレーサビリティの示し方 | JCSS標章・認定シンボル付き校正証明書で示す | 校正事業者の標準器・校正体系を確認する | チノーの校正体系・証明内容に基づく |
| 主な判断軸 | JCSSによる証明が必要か | 必要な校正内容・証明を満たせるか | チノー校正の対象・条件で要求を満たせるか |
チノーへ校正を依頼する場合は、 「JCSS校正試験が必要か」「チノー校正で必要な管理要件を満たせるか」 を整理すると選びやすくなります。
Chapter 5
費用と納期だけで選ばない
JCSS校正試験とチノー校正では、 校正対象、校正点、校正方法、証明書などが異なるため、 費用や納期も同じとは限りません。
先に「どの証明が必要か」を確認せず、 価格だけで校正方法を選ぶと、 後から顧客や監査で別の証明を求められ、再校正が必要になることも考えられます。
必要な証明を先に確認
JCSS指定の有無、必要なトレーサビリティ、 校正証明書の要件を先に整理します。
校正対象・範囲を確認
必要な測定範囲や校正点が、 選択する校正サービスの対応範囲に含まれているか確認します。
停止期間も含めて考える
校正費用だけでなく、 測定器を使用できない期間や代替機の必要性も考慮します。
Chapter 6
どの校正を選ぶ?用途から考える
| 状況 | まず検討したいこと |
|---|---|
| 顧客からJCSS校正を指定されている | JCSS校正試験の対象・範囲に含まれるか確認する |
| JCSS標章付き校正証明書が必要 | JCSS校正試験を検討する |
| チノー製温度センサの精度を定期的に確認したい | 必要な証明内容を確認し、チノー校正またはJCSS校正試験を検討する |
| JCSS対象外の校正点・対象について相談したい | チノー校正で対応できるか確認する |
| 社内管理用の校正を行いたい | 社内規程や必要なトレーサビリティを確認し、適した校正方法を選ぶ |
| どちらが必要なのか分からない | 用途、校正対象、必要な証明書、顧客要求を整理して相談する |
ISO、IATFなどの規格名だけから 「必ずJCSS」と判断するのではなく、 実際の顧客要求、監査要求、社内規程で何が求められているかを確認してください。
Chapter 7
校正方法を選ぶときのよくある誤解
JCSSの方が必ず精度が高い
JCSSの大きな特徴は、 登録・認定された校正能力と国家計量標準へのトレーサビリティを 制度として示せることです。 「JCSSだから測定器そのものの精度が高くなる」という意味ではありません。
一般校正にはトレーサビリティがない
一般校正でも、使用する標準器や校正体系によって トレーサビリティを確保している場合があります。 必要な証明内容を確認してください。
チノー校正とJCSS校正は同じ
同じではありません。 チノー校正は当社基準で行う校正、 JCSS校正試験はJCSSの登録・認定範囲で行う校正です。
全部JCSSにすればよい
JCSSが必要でない測定器まで一律にJCSSとすると、 運用上の負担が増える場合があります。 測定器ごとに必要な証明レベルを判断することが重要です。
Chapter 8
校正を依頼する前に整理しておきたいこと
JCSS校正試験とチノー校正のどちらを選ぶべきか分からない場合でも、 次の情報があると相談を進めやすくなります。
| 確認項目 | 整理しておきたい内容 |
|---|---|
| 校正対象 | 測温抵抗体、熱電対、放射温度計、湿度計など |
| 型式・仕様 | 型式、測定範囲、センサ種類、指示計との組み合わせ |
| 校正範囲・校正点 | 実際に使用する温度域や必要な校正ポイント |
| 必要な証明 | JCSS指定、校正証明書、トレーサビリティなど |
| 顧客・監査要求 | 顧客仕様、社内規程、品質管理上の要求 |
| 校正周期 | 現在の周期、前回校正日、過去の校正結果 |
どの校正を選べばよいか分からない場合もご相談ください
校正対象、必要な温度範囲、校正点、 顧客・監査要求などから、 JCSS校正試験とチノー校正のどちらが適しているか整理できます。
校正について相談するまとめ
JCSSか、チノー校正か。「何が必要か」から選ぶ
JCSS校正は、計量法に基づく制度のもとで、 国家計量標準へのトレーサビリティをJCSS標章や認定シンボル付き校正証明書によって示せる校正です。
一般校正はJCSSの制度によらない校正を表す一般的な呼び方であり、 チノーでは当社基準による校正を「チノー校正」として提供しています。
チノーへ校正を依頼する場合は、 「JCSSか一般校正か」という二択だけで考えるのではなく、 必要な証明、校正対象、校正範囲、顧客・監査要求などから、 JCSS校正試験とチノー校正のどちらが適しているかを検討することが重要です。
FAQ
よくある質問
JCSS校正と一般校正の違いは何ですか?
JCSS校正は計量法に基づくJCSSの制度のもとで行われる校正です。 一般校正は、JCSSの登録・認定の枠組みによらない校正を指す一般的な呼び方です。
チノー校正とは何ですか?
チノーが当社の基準で実施する校正です。 温度センサ、指示計との組み合わせ、放射温度計、 湿度計・露点計など、対象に応じた校正試験を用意しています。
チノー校正とJCSS校正試験は何が違いますか?
チノー校正は当社基準による校正です。 JCSS校正試験は、JCSSで登録・認定された校正対象・範囲・条件で実施する校正です。 必要な証明内容や校正対象によって選択します。
一般校正でもトレーサビリティは確保できますか?
校正に使用する標準器や校正体系によっては可能です。 必要な場合は、校正事業者がどの標準までつながる校正体系を構築しているか確認してください。
JCSS校正の方が必ず精度が高いのでしょうか?
JCSSだから測定器そのものの精度が高くなるという意味ではありません。 JCSSの特徴は、登録・認定された校正能力と 国家計量標準へのトレーサビリティを制度として示せることです。
ISOやIATFへの対応にはJCSSが必須ですか?
規格名だけから一律にJCSSが必須とは判断できません。 顧客要求、監査要求、社内規程などで、 実際にどのような校正・証明が求められているかを確認してください。