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標準白金測温抵抗体(SPRT)の位置づけ

標準白金測温抵抗体(SPRT)は、高精度な温度測定が求められる場面で不可欠なセンサーです。その名の通り、白金(Pt)の電気抵抗が温度によって変化する特性を利用しており、特に精密な温度管理が必要な領域でその真価を発揮します。

国家計量標準機関・校正所における役割

国家計量標準機関や校正所では、SPRTが温度標準の維持・供給に重要な役割を担っています。SPRTは、国際温度目盛(ITS90)に定義される定点校正や比較校正の標準器として用いられ、他の温度計の精度を保証するための基準となります。日本の計量トレーサビリティ制度(JCSS)では、認定された校正事業者が国家標準へのトレーサビリティを確保した校正サービスを提供しており、その中核をSPRTが占めています。

SPRTの基礎知識とITS-90の意義

標準白金測温抵抗体(SPRT)とは

標準白金測温抵抗体(SPRT)は、温度によって電気抵抗が変化する白金(Pt)の特性を利用した高精度な温度センサーです。一般的に金属の電気抵抗は温度に比例して変化しますが、白金はその中でも特に安定性が高く、広い温度範囲で信頼性の高い測定が可能です。SPRTは、その高い精度と安定性から、工業用温度計測のみならず、科学研究や品質管理など、幅広い分野で基準となる温度計として利用されています。

適用規格:ITS-90と定義定点

温度目盛の国際的な基準である「1990年国際温度目盛(ITS-90)」において、SPRTは水銀の三重点(-38.8344℃)から銀の凝固点(961.78℃)までの温度領域における標準温度計として定義されています。ITS-90は、熱力学温度の最良近似として国際的に合意されたものであり、特定の物質の相転移点(定義定点)を利用して温度を再現します。主なITS-90の定義定点は以下の通りです。

  • 平衡水素の三重点:13.8033 K(-259.3467 ℃)
  • ネオンの三重点:24.5561 K(-248.5939 ℃)
  • 酸素の三重点:54.3584 K(-218.7916 ℃)
  • アルゴンの三重点:83.8058 K(-189.3442 ℃)
  • 水銀の三重点:234.3156 K(-38.8344 ℃)
  • 水の三重点:273.16 K(0.01 ℃)
  • ガリウムの融解点:302.9146 K(29.7646 ℃)
  • インジウムの凝固点:429.7485 K(156.5985 ℃)
  • すずの凝固点:505.078 K(231.928 ℃)
  • 亜鉛の凝固点:692.677 K(419.527 ℃)
  • アルミニウムの凝固点:933.473 K(660.323 ℃)
  • 銀の凝固点:1234.93 K(961.78 ℃)
  • 金の凝固点:1337.33 K(1064.18 ℃)
  • 銅の凝固点:1357.77 K(1084.62 ℃)

校正・トレーサビリティ確立のための国際規格

日本の計量トレーサビリティ制度(Japan Calibration Service System:JCSS)は、「計量標準供給制度」と「校正事業者登録制度」の2つの制度によって支えられています。

  • 計量標準供給制度

    • 国家計量標準に繋がる校正を維持するための仕組みであり、経済産業大臣が指定・登録した校正事業者が、特定標準器や特定標準物質を用いて計量標準を供給します。
  • 校正事業者登録制度

    • ISO/IEC 17025の要求事項に適合する校正事業者を国に登録する制度です。登録された事業者は、JCSS認定シンボルマーク付き校正証明書を発行でき、これはIAJapanが加盟するILAC(国際試験所認定協力機構)およびAPAC(アジア太平洋認定協力機構)のMRA(相互承認協定)を通じて、海外でも通用します。
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