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取り付けで重要なのは「正しい測定点」をつくること
熱電対や測温抵抗体などの接触式温度センサでは、 測定対象から感温部へ熱が伝わり、感温部の温度変化を電気信号として検出します。
そのため、温度センサを設備へ固定しただけでは、 必ずしも知りたい温度を測れているとは限りません。
感温部が何の温度になっているかを考える
例えば配管内の流体を測りたい場合でも、 感温部が配管壁に近い位置にあるのか、流体内部まで入っているのかによって、 センサが受ける熱の条件は変わります。
同じように、炉内では雰囲気とワーク、槽では液体と壁面、 表面測定では測定対象と周囲空気など、複数の熱源・熱経路が存在します。
温度センサを取り付けるときは、 「センサをどこに付けるか」ではなく、「感温部をどこの温度にしたいか」 から考えることが基本です。
センサ選定と取り付けは別の判断
センサの精度、温度範囲、応答性などは重要ですが、 それらは適切に取り付けられて初めて測定に生かされます。
熱電対と測温抵抗体の違いや、用途に応じたセンサ選定については、 温度センサガイド|熱電対・測温抵抗体の違いと選定ポイントFAQ で解説しています。
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温度センサを取り付ける位置の考え方
温度は設備や測定対象のどこでも同じとは限りません。 取り付け位置を決めるときは、まず「この測定値を何のために使うのか」を明確にします。
工程で管理したい温度を明確にする
品質管理、設備監視、温度制御、安全監視など、 測定値の用途によって必要な測定点は変わります。
例えば設備の異常監視に必要な温度と、 製品品質を判断するために必要な温度が同じとは限りません。
取り付けやすさだけで測定位置を決めない
配線しやすい、作業しやすい、既存の取付穴があるといった理由だけで測定位置を決めると、 本当に知りたい温度と測定値が一致しないことがあります。
測定位置を決めるときは、設備構造だけでなく、 温度分布、流れ、熱源との位置関係などを確認します。
測定値が何を代表しているか説明できる状態にする
特に品質管理や工程管理に使用する温度では、 「なぜこの位置で測っているのか」を説明できることが重要です。
温度計測そのものの考え方については、 温度計測とは?測定との違い・仕組み・正しく測るための考え方 もあわせてご覧ください。
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挿入深さが不足すると測定値がずれる理由
配管、槽、炉などへ温度センサを挿入して測定する場合、 感温部だけを測定対象へ入れればよいとは限りません。 挿入深さが不足すると、取付部などを通じた熱伝導の影響を受けやすくなります。
取付部との間で熱が移動する
温度センサのシースや保護管は、測定対象から設備外部までつながっています。 測定対象と外部に温度差があると、その部分を通じて熱が移動します。
挿入が浅い場合、感温部付近の温度がこの熱移動の影響を受け、 測定対象そのものの温度と一致しにくくなることがあります。
熱電対は外径の15~20倍以上が一つの目安
チノーの温度センサ総合カタログでは、 熱電対の挿入長について、外径の15~20倍以上を一般的な目安として示しています。
測温抵抗体は外径の20~30倍以上が一つの目安
測温抵抗体については、外径の20~30倍以上が一般的な目安です。
| センサ | 挿入長の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 熱電対 | 外径の15~20倍以上 | 取付部などへの熱伝導の影響を抑えるため、十分な挿入長を確保します。 |
| 測温抵抗体 | 外径の20~30倍以上 | 感温部が測定対象の温度へ十分に近づけるよう、挿入条件を確認します。 |
※上記は一般的な目安です。必要な挿入長は、測定対象、材質、センサ外径などによって異なります。 倍率を満たせば必ず正しい測定になるという意味ではありません。
挿入長だけで判断しない
実際の測定では、センサや保護管の外径・材質、 測定対象の状態、流れ、周囲との温度差などによって熱の伝わり方が変わります。
特に小径配管など十分な挿入長を確保しにくい設備では、 単純に倍率だけで判断せず、センサ構造や取付方法を含めて検討します。
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配管・槽・炉・表面では取り付け方が異なる
温度センサの適切な取り付け方は、何を測るかによって変わります。 ここでは、代表的な測定対象ごとに確認したい考え方を整理します。
配管・流体の温度を測る場合
配管では、配管径、測定位置、流体の状態などを確認し、 感温部がどの位置にあるかを考えます。
配管壁面に近い部分と流体内部では温度条件が異なる場合があるため、 十分な挿入深さを確保できるかも含めて取り付け方法を検討します。
槽内の液体温度を測る場合
槽内では、加熱・冷却位置、液体の循環や攪拌、液面の変化などによって 温度分布が生じることがあります。
感温部が常に測定対象へ適切に接触できるか、 工程で管理したい温度を代表する位置になっているかを確認します。
炉内の温度を測る場合
炉内では、雰囲気温度と加熱されるワークの温度が同じとは限りません。 何を管理するための測定なのかを明確にしたうえで、測定位置を決めます。
固体表面の温度を測る場合
接触式センサで固体表面を測定する場合は、 感温部と測定面の接触状態が重要です。
接触が不十分だったり、周囲空気や固定部からの熱影響を強く受けたりすると、 測定面の温度と感温部の温度に差が生じることがあります。
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保護管と取付金具を選ぶときのポイント
工業用の温度センサでは、センサを設備へ固定したり、 圧力、流体、腐食、機械的な影響から保護したりするために、 保護管や各種取付金具を使用します。
保護管はセンサを守る一方、熱の伝わり方にも関係する
保護管を使用すると、測定対象から保護管を介して感温部へ熱が伝わります。 そのため、保護管は強度や耐食性だけでなく、 外径や構造による応答への影響も考えて選定します。
取付方式によって挿入長の調整方法が変わる
チノーの温度センサには、固定フランジ、摺動フランジ、 固定ニップル、摺動ニップル、コンプレッションフィッティングなど、 用途に応じた取付方法があります。
固定位置が決まる方式と、設置時に挿入位置を調整できる方式があるため、 必要な挿入長、設備構造、圧力や気密性などの条件を確認して選定します。
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シース形センサを曲げて設置するときの注意点
シース形温度センサには、設備形状に合わせて曲げて設置できるものがあります。 ただし、感温部を含め、どの位置でも自由に曲げられるわけではありません。
測温抵抗体では感温部付近を曲げない
チノーのシース測温抵抗体では、 抵抗素子が入っている先端100mmの部分を曲げないよう注意しています。
製品によって曲げ可能な位置や条件は異なるため、 実際の施工前に対象製品の仕様・取扱説明書を確認してください。
曲げ半径と繰り返し曲げにも注意する
シースを曲げる場合は、製品仕様で定められた曲げ半径を確保します。 無理な曲げや同じ位置での繰り返し曲げは、 断線、シース損傷、絶縁不良などにつながる場合があります。
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取り付け条件は応答速度にも影響する
温度センサの応答は、センサの種類だけで決まるものではありません。 外径、感温部の構造、保護管、測定対象との接触状態など、 実際の取り付け条件も温度変化への追従に関係します。
保護を強くすると応答への影響も考える必要がある
工業用途では、圧力、腐食、振動などからセンサを保護する必要があります。 一方で、保護構造を追加すると、測定対象から感温部までの熱の伝わり方も変化します。
そのため、耐久性だけでなく、工程でどの程度の応答が必要なのかも含めて構成を決めます。
温度制御に使う場合はセンサ位置も確認する
温度制御では、センサが検出した値をもとにヒータなどへの出力を調整します。 そのため、センサが制御したい対象の温度変化を適切に捉えられる位置にあることが重要です。
温度制御そのものの考え方については、 制御とは?目標値に近づけ、安定した状態を保つための考え方 をご覧ください。
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取り付け後に確認したいポイント
温度センサは、設置した時点で終わりではありません。 使用環境による変化や劣化を考え、測定点の状態を継続的に確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 固定状態 | センサや取付金具に緩み、位置ずれがないか |
| 挿入位置 | 設計した挿入深さ・測定位置が維持されているか |
| 保護管 | 腐食、摩耗、変形、破損などがないか |
| 振動・外力 | センサや配線へ無理な力が加わっていないか |
| 周囲環境 | 温度、湿気、結露、腐食など使用条件が変化していないか |
| 測定値 | 過去の傾向と比べて不自然な変化がないか |
測定値の信頼性が必要な場合は校正につなげる
取り付け状態の確認だけでは、センサや計器そのものの指示値のずれまでは判断できません。 品質管理や監査などで測定値の信頼性を確認する必要がある場合は、 使用条件や管理基準に応じて校正を行います。
校正の基本については、 校正とは?測定器の値を基準と比較し、差を確かめる仕組み で解説しています。
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温度センサ取り付け前チェックリスト
温度センサを設備へ取り付ける前に、 次の項目を確認すると、測定位置や取付方法の見落としを防ぎやすくなります。
- 何の温度を測るのか明確になっている
- その測定値を何に使用するのか決まっている
- 測定位置が対象の温度を代表できるか確認した
- 感温部がどこに位置するか確認した
- 必要な挿入深さを検討した
- センサ外径・長さを確認した
- 保護管の必要性と材質を確認した
- 取付金具と挿入位置の調整方法を確認した
- 必要な応答速度を確認した
- 圧力、流速、振動、腐食などの使用環境を確認した
- 取り付け後に点検・交換・校正できる構造になっている
FAQ
温度センサの取り付けでよくある質問
温度センサはどこに取り付ければよいですか?
取り付けやすい場所ではなく、工程で知りたい温度を代表できる位置を選ぶことが基本です。 配管、槽、炉、表面など、測定対象によって温度分布や熱の伝わり方が異なるため、 感温部が何の温度を測っているかを確認します。
温度センサの挿入深さはどのくらい必要ですか?
チノーの温度センサ総合カタログでは、一般的な目安として、 熱電対は外径の15~20倍以上、測温抵抗体は20~30倍以上を示しています。 ただし、必要な挿入長は測定対象、材質、センサ外径などの条件によって異なります。
温度センサの挿入深さが短いとどうなりますか?
取付部などへの熱伝導の影響を受けやすくなり、 感温部が測定対象と十分に同じ温度にならないことがあります。 その結果、測定対象の温度と表示値の間に差が生じることがあります。
保護管を付けると温度センサの応答は変わりますか?
保護管を介して測定対象から感温部へ熱が伝わるため、 保護管の構造や外径などは応答に関係します。 耐久性や耐食性だけでなく、工程で必要な応答性も含めて検討します。
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Reference
参考情報
本記事では、温度センサの一般的な設置・取り付けの考え方を解説しています。 製品ごとの具体的な寸法、使用温度、曲げ条件、取付条件などについては、 最新の製品カタログ・取扱説明書をご確認ください。
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