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オートチューニングとは何か

オートチューニングは、 PID制御に使用するPID定数を自動的に算出・設定する機能です。

PID制御では、SV(設定値)とPV(測定値)との偏差などから MV(操作量)を決めます。 このとき、P・I・Dの働きをどの程度にするかによって 制御対象の応答が変化します。

たとえば同じ200℃を制御する場合でも、 小型の加熱槽と大型の加熱炉では、 温度の上がり方や操作してから温度変化が現れるまでの時間が異なります。

そのため、すべての設備で 同じPID定数を使用できるわけではありません。 オートチューニングは、 制御対象の応答を利用してPID定数を求めます。

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ATでは何をしているのか

PID定数を決めるには、 制御対象が操作に対してどのように応答するのかが重要になります。

オートチューニングでは、 制御対象を実際に動作させたときの応答を利用して PID定数を算出します。

オートチューニングの具体的な算出方式や AT中の動作は、調節計や方式によって異なります。 個別機種の動作については取扱説明書を確認してください。

重要なのは、調節計の内部だけで PID定数を決めているわけではなく、 接続されている制御対象の応答が PID定数の算出に関係するという点です。

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ATの実施を検討する代表的な場面

オートチューニングは、 PID定数を設定・見直しするときの方法の一つです。

新しい設備を立ち上げるとき

新しい設備では、 その制御対象にどのようなPID定数が適しているのか 分からない場合があります。 そのような場合にATを利用してPID定数を求める方法があります。

制御対象や設備条件が変わったとき

設備構成、ヒータ、制御対象などが大きく変われば、 以前使用していたPID定数が適さなくなる場合があります。

そのような場合には、 PID定数を見直す方法の一つとしてATを検討します。

PID定数の見直しが必要なとき

現在のPID定数が制御対象に適していないと判断した場合には、 ATを利用してPID定数を求め直す方法があります。

温度が安定しない原因がPID定数とは限りません。 ATを繰り返す前に、 PV・MV、センサ、ヒータ、操作機器、設備状態なども確認します。

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ATを実施する前に確認すること

ATでは制御対象の応答を利用します。 そのため、制御ループそのものが 正常に動作していることが前提になります。

センサは正しく測定できているか

PVが正しくなければ、 その応答を利用して適切なPID定数を求めることはできません。 センサの状態、取り付け位置、配線などを確認します。

ヒータや操作機器は正常に動作しているか

調節計がMVを出しても、 その操作が実際の設備へ反映されなければ 制御対象の正しい応答を得られません。

ヒータ、サイリスタレギュレータ、SSR、 バルブなど、設備に使用している操作側の機器も確認します。

制御対象が実際に動作できる状態か

ATは制御対象の応答を利用するため、 設備が実際に動作できる状態で実施する必要があります。

AT中の温度変化に問題がないか

ATでは制御対象の特性を確認するため、 通常の安定制御とは異なる温度変化になる場合があります。

製品、材料、設備などに 許容できない温度変化が生じないかを 実施前に確認します。

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AT中は何が起きているのか

ATを開始すると、 調節計は制御対象の応答を確認しながらPID定数を求めます。

AT中は、完成したPID制御で 通常運転している状態とは異なります。

ATはPID定数を求めるために 制御対象の特性を確認している段階です。

そのため、AT中の温度波形だけを見て 「制御が悪い」と判断するのではなく、 ATが終了した後の制御応答を確認します。

AT中に具体的にどのような動作を行うかは、 調節計やAT方式によって異なります。

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ATが正常に完了しない場合

ATを開始すれば、 どのような制御対象でも必ずPID定数を 求められるわけではありません。

制御対象の応答が遅すぎる

非常に大きな熱容量を持つ設備などでは、 操作してからPVが変化するまでに 長い時間がかかることがあります。

このように応答が極端に遅い制御対象では、 ATが長時間になったり、 正常にPID定数を求められなかったりする場合があります。

制御対象の応答が速すぎる

反対に、操作に対してPVが非常に速く変化する制御対象でも、 調節計のATで正常にPID定数を算出できない場合があります。

算出結果が調節計で扱える範囲に収まらない

制御対象の特性によっては、 ATによって算出されるPID定数が、 調節計で設定できる範囲に収まらない場合があります。

ATが正常に終了しなかった場合の判定条件や、 PID定数の扱いは調節計によって異なります。 具体的な条件については、 使用する機種の取扱説明書を確認してください。

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AT終了後に確認すること

ATが終了したら、 実際にそのPID定数で運転し、 制御応答を確認します。

確認項目 見るポイント
立ち上がり PVがSVへどの程度の速さで近づくか
オーバーシュート PVがSVを必要以上に超えていないか
ハンチング SV付近でPVが周期的に上下していないか
整定時間 SV付近へ到達した後、安定するまでの時間
MV 制御結果に対してどのような操作を行っているか

ATが終了したことと、 目的とする制御が完成したことは同じではありません。 実際の制御応答を確認することが重要です。

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ATで求めたPID定数はそのまま使えるのか

ATによって求めたPID定数は、 その制御対象の応答を利用して算出された値です。

ただし、 ATで求めたPID定数が あらゆる運転条件で最適とは限りません。

SV、材料や負荷、周囲温度、設備条件などが変われば、 制御応答も変化することがあります。

そのためAT後は、 実際の運転条件でPV・MVを確認します。 目的とする制御応答になっていなければ、 PID定数をさらに調整することがあります。

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オートチューニングとPID調整は何が違うのか

項目 オートチューニング PID調整
主な役割 PID定数を自動算出・設定する 制御応答を見ながらPID定数を調整する
主な情報 制御対象の応答 PV・MV・制御波形
操作 調節計のAT機能を利用 制御結果を見ながら設定を変更
実施後 実際の制御応答を確認 変更前後の応答を比較

両者はどちらか一方だけを選ぶものではありません。

ATを実施してPID定数を算出し、 実際に運転してPV・MVを確認したうえで、 必要に応じてPID調整を行うという使い方ができます。

PID調整とは?温度制御の波形から考えるチューニングの基本

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ATだけでは解決しない問題

ATはPID定数を求めるための機能です。 PID定数以外に原因がある問題を、 ATだけで解決することはできません。

SENSOR

センサ

制御したい対象を正しく測れているか確認します。

HEATER

ヒータ

必要な加熱能力があるか確認します。

ACTUATOR

操作機器

MVが実際のヒータや設備へ適切に反映されているか確認します。

RESPONSE

熱容量・むだ時間

設備そのものに大きな応答遅れがないか確認します。

DISTURBANCE

外乱

材料投入、扉の開閉、流量変化などの影響を確認します。

CONTROL METHOD

制御方式

単一のPID制御で目的とする応答を得られる対象か確認します。

ATを繰り返しても改善しない場合には、 PID定数だけでなく制御ループ全体を見ることが重要です。

CHINO

CHINOの調節計とオートチューニング

CHINOの調節計では、 ほとんどの機種にオートチューニング機能を標準搭載しています。

一方で、オートチューニングの方式、実行条件、 操作方法、算出したPID定数の登録方法、 正常にPID定数を算出できない場合の判定条件などは 機種によって異なります。

本記事ではATの一般的な考え方を解説しています。 個別機種の操作方法や設定条件については、 各調節計の取扱説明書やFAQを確認してください。

Next

オートチューニングの次に知りたいこと

FAQ

よくある質問

オートチューニングとは何ですか?

オートチューニングとは、 制御対象の応答を利用して、 PID制御に使用するPID定数を 自動的に算出・設定する機能です。

オートチューニングをすればPID調整は不要ですか?

必ずしもそうではありません。 AT後も実際の運転条件でPV・MVや制御波形を確認し、 必要に応じてPID調整を行います。

オートチューニングが終わらないことはありますか?

制御対象の応答が極端に遅い場合など、 対象の特性によってはATが長時間になったり、 正常にPID定数を算出できなかったりする場合があります。

応答が速すぎてもオートチューニングできないことがありますか?

制御対象の応答が極端に速い場合など、 調節計のATで正常にPID定数を算出できない場合があります。 具体的な判定条件は機種によって異なります。

オートチューニングが正常に終了しなかった場合、PID定数はどうなりますか?

正常終了できなかった場合のPID定数の扱いは 機種によって異なります。 CHINOの一部機種では、 AT実行前のPID定数を保持する仕様があります。 使用機種の取扱説明書を確認してください。

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