Chapter 1

なぜ今、半導体がこれほど重要なのか

半導体は、電気を通す導体と、 電気をほとんど通さない絶縁体の 中間的な性質を持つ材料です。

その性質を利用して作られる半導体デバイスは、 電気信号を計算したり、記憶したり、 電力を制御したりするために使われています。

AI・データセンター

大量の計算を行うプロセッサや メモリなどに半導体が使われています。

スマートフォン

演算、通信、カメラ、 データ保存など多くの機能を 半導体が支えています。

自動車

車両制御、センサ、 通信、電力制御など、 多くの場所で半導体が使われています。

工場・社会インフラ

産業機器、通信設備、 エネルギー設備などにも 半導体は欠かせません。

半導体そのものの意味や種類から知りたい方は、 基礎記事をご覧ください。

半導体とは?

Chapter 2

半導体はどう作られる?

小さな半導体チップが完成するまでには、 多くの精密な製造工程があります。 ここでは全体像を簡単に見てみましょう。

Step 1

ウェーハを作る

高純度のシリコンなどから結晶を作り、 薄い円盤状に加工します。 この円盤が「ウェーハ」です。

Step 2

薄い膜を作る

ウェーハ表面に、 半導体や絶縁体、導体などの 薄い膜を形成します。

Step 3

回路パターンを作る

光などを利用して、 ウェーハ上に非常に細かな 回路パターンを形成します。

Step 4

不要な部分を取り除く

エッチングと呼ばれる工程で、 必要なパターンを残しながら 材料を加工します。

Step 5

電気的な性質を作る

拡散やイオン注入などによって、 材料の電気的な性質を調整します。

Step 6

検査して製品にする

ウェーハ上のデバイスを検査し、 切り分け、必要な接続や パッケージングを行います。

実際の半導体製造では、 これらの工程が単純に一度ずつ行われるわけではありません。 必要な構造を作るため、 成膜、露光、エッチングなどの工程を 繰り返しながらデバイスを形成していきます。

Chapter 3

ここで登場する「温度」という見えない条件

半導体製造では、 材料を加熱したり、 化学反応を起こしたり、 薄膜を形成したりする工程があります。

こうした工程では、 温度が材料の反応や状態に影響します。

そのため重要なのは、 単に「熱くする」ことではありません。

必要な温度にする

プロセスに必要な条件へ 温度を近づけます。

温度を安定させる

処理中の温度変化を抑え、 再現性のある状態を保ちます。

温度ムラを把握する

装置内部や対象物の場所によって 温度差が生じていないか確認します。

同じ条件を再現する

製造条件を記録し、 次の処理でも同じ状態を 再現できるようにします。

半導体製造における温度管理を より技術的に知りたい方は、 専門記事をご覧ください。

半導体製造における温度管理とは?

Chapter 4

どんな工程で温度が関係するのか

工程・設備 温度との関係
シリコン単結晶の製造 原料を溶融し、 結晶を成長させる工程で 温度状態を把握・管理します。
拡散・熱処理 高温環境でウェーハを処理するため、 炉内温度の測定・制御が重要になります。
CVDなどの成膜 化学反応を利用して膜を形成するため、 プロセス条件の一つとして 温度管理が必要になります。
SiC結晶成長 高温環境で結晶を成長させるため、 非接触での温度測定などが 検討されます。
装置・設備 装置の状態監視や 安定運転のために、 各部の温度を測定する場合があります。

Chapter 5

では、その温度をどうやって測るのか

半導体製造で使われる温度測定方法は、 一つではありません。

測定対象、温度範囲、 接触できるかどうか、 装置構造などによって 適した方法が変わります。

熱電対

高温域を含む幅広い温度測定に使われる 接触式温度センサです。 炉などの温度測定にも利用されます。

測温抵抗体

白金などの抵抗値変化を利用して 温度を測定します。 安定した温度測定が必要な場面で使われます。

放射温度計

対象物から放射される赤外線を利用し、 対象へ触れずに表面温度を測定します。 高温物や接触が難しい対象で利用されます。

接触式を詳しく知る

非接触式を詳しく知る

Chapter 6

温度を測る目的は「温度を知ること」ではない

半導体工場が温度を測っているのは、 温度そのものを知りたいからだけではありません。

本当に知りたいのは、 製造条件が狙った状態になっているか、 同じ品質を再現できるか、 異常の兆候がないか ということです。

測る プロセスの温度状態を把握する
制御する 目標とする温度状態へ近づける
記録する 製造条件を後から確認できるようにする
監視する 異常や変化に気づけるようにする
校正する 測定値の信頼性を確認する

こうして得られたデータは、 品質や歩留まりを考えるための 一つの重要な判断材料になります。

半導体製造の歩留まりを改善するには?

Why CHINO?

なぜ温度計測メーカーのチノーが半導体を語るのか

半導体は、 世界でも特に高度な技術が集まる産業の一つです。

その中でチノーが担っているのは、 半導体そのものを作ることではありません。

製造工程の中にある 「温度を正しく把握する」 という部分です。

チノーでは、 熱電対などの温度センサ、 放射温度計、記録計、調節計、 監視システム、校正関連の製品・サービスなどを通じて、 温度計測・制御・監視を支えています。

半導体と温度の関係をさらに深く知りたい方へ

ここから先は、 目的に合わせて専門記事へ進めます。

半導体を理解する

温度管理を深掘りする

Summary

半導体の進化を、温度という視点から見てみる

半導体は、 多くの高度な製造技術を組み合わせて作られています。

その中で温度は、 材料の反応、熱処理、成膜、 結晶成長、装置の状態など、 様々な場面に関わっています。

AIや自動車などの華やかな技術の裏側には、 「測る」「制御する」「記録する」「監視する」 という地道な技術があります。

半導体を見るとき、 ぜひその裏側にある 「温度」にも目を向けてみてください。