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センシングとは?

センシングとは、対象の状態や変化をセンサなどで捉え、 目的に応じて利用できる情報として取得することです。

温度、湿度、水分など、現場で知りたい状態はさまざまです。 その状態を何らかの方法で検出し、 比較や記録、判断などに利用できる情報にすることがセンシングの基本的な考え方です。

センシングという言葉は非常に広く使われており、 温度や湿度だけでなく、圧力、流量、位置、振動などさまざまな対象が含まれます。 ここでは、CHINOが扱う産業計測を中心に、 「測る」とは何をしているのかを見ていきます。

センサとセンシングは何が違う?

センサは、対象の状態や変化を捉えるための要素や機器です。

センシングは、そのセンサなどを利用して対象の状態や変化を捉え、 必要な情報を取得する一連の行為や技術を指します。

例えば熱電対は、温度を捉えるために利用される代表的な温度センサです。

しかし、熱電対を設置すること自体が目的ではありません。 「製品の温度を知りたい」「炉内の温度を確認したい」といった目的があり、 そのための手段として熱電対を利用します。

つまり、センサはセンシングを行うための要素の一つであり、 センシングはそれを使って必要な情報を得るための考え方まで含んでいます。

測定・計測とは何が違う?

「センシング」「測定」「計測」は、実際には重なりを持って使われる言葉です。 そのため、すべての場面で明確に区別できるわけではありません。

このページでは、センシングを「対象の状態や変化を捉えて、 必要な情報を取得する」という広い入口として扱います。

実際に温度をどのように測るのか、 測定値をどのように扱うのかについては、 「温度計測とは?」で詳しく解説しています。

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そもそも、なぜ測るのか?

測定器があるから測るのではありません。 何かを知りたいから、その状態を捉えるために測ります。

センシングについて考えるとき、 最初に確認したいのは「どのセンサを使うか」ではなく、 「なぜ測るのか」です。

状態を比較・記録・判断できる情報として知るため

人は、「熱い」「寒い」「湿っている」「乾いている」といった感覚から、 周囲の状態をある程度判断できます。

しかし、感覚だけでは状態を正確に比較したり、 後から確認したりすることは簡単ではありません。

例えば、 「昨日より少し熱い」という情報より、 「昨日は100℃、今日は110℃」という情報の方が、 状態の違いを扱いやすくなります。

測ることで、対象の状態を比較したり、記録したり、 基準と照らしたり、変化を捉えたり、異常を判断したりできます。

つまり、測ることは、現場の状態を判断や行動に利用できる情報として捉えることでもあります。

「何を測るか」の前に「何を知りたいか」を考える

例えば、工業炉で温度を測っているとします。 このとき、本当に知りたいのは「温度」でしょうか。

実際には、 「製品が適切に加熱されているか」 「決められた条件で熱処理できているか」 「異常な温度上昇が起きていないか」 を知るために温度を測っているのかもしれません。

乾燥工程で水分を測る場合も同じです。 水分率という数字そのものではなく、 「十分に乾燥したか」「次の工程へ進める状態か」 「製品品質が基準内にあるか」を判断するために水分を測る場合があります。

測定対象と、本当に知りたいことは必ずしも同じではありません。 センシングを考えるときは、「何を測るか」から一つ前に戻り、 「本当は何を知りたいのか」を考えることが重要です。

目的が変われば、必要なセンシングも変わる

同じ温度を測る場合でも、目的によって必要な条件は変わります。 異常を早く検知したいのか、製品の品質管理に使いたいのか、 設備を制御したいのかによって、必要な精度、応答性、測定位置、測定頻度などが変わります。

そのため、「何℃を測るか」だけでなく、 「なぜその状態を知りたいのか」まで整理してから、 測定方法を考えることが重要です。

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対象の状態を、どうやって「情報」に変える?

センシングでは、知りたい状態そのものではなく、 その状態と関係する別の現象を捉え、必要な情報を得ている場合があります。

センシングの基本的な流れは、次のように考えることができます。

知りたいこと → 関係する状態・物理量 → 状態によって変化する現象 → センサなどで検出 → 信号 → 利用できる情報

熱電対は温度と関係する熱起電力を利用する

熱電対では、異なる金属を組み合わせた回路に生じる熱起電力と温度との関係を利用して、 温度を求めます。

つまり、 「温度 → 熱起電力 → 電気信号 → 温度情報」 という変換によって、温度を情報として扱います。

熱電対の詳しい原理や種類については、「熱電対とは?」で解説しています。

放射温度計は物体から放射される赤外線を利用する

温度を測る方法は一つではありません。 放射温度計では、対象物から放射される電磁波を検出し、 その情報から温度を求めます。

熱電対とは異なる現象を利用して、 同じ「温度」という情報を取得していることが分かります。

赤外線水分計は水分と関係する赤外線の吸収を利用する

水分についても、知りたい水分そのものを直接読み取るのではなく、 水分によって変化する赤外線の吸収などを利用する方法があります。

「水分 → 赤外線吸収の変化 → 光学的な情報 → 水分情報」 という関係を利用しています。

詳しい原理や検量線については、「赤外線水分計とは?」で解説しています。

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何を知りたい?目的に合ったセンシング方法を考える

「何を知りたいか」と「どのような現象・方式を利用してそれを捉えるか」を 分けて考えると、センシング方法を整理しやすくなります。

知りたいもの 利用する性質・現象の例 測定方法の例
温度 熱起電力、電気抵抗、熱放射など 熱電対、測温抵抗体、放射温度計
湿度・露点 水蒸気に応じたセンサ特性の変化など 湿度センサなど
水分 質量変化、電気的特性、赤外線吸収など 乾燥法、電気式、赤外線式など

上表は代表的な例です。測定対象や用途によって、利用できる原理・方式は異なります。

温度を知りたい

温度は、熱電対や測温抵抗体などを使う方法のほか、 赤外線を利用して非接触で測る方法もあります。

どの方法が適しているかは、温度範囲だけでなく、 対象物、必要な精度、応答性、設置条件などによって変わります。

湿度・露点を知りたい

空気や気体に含まれる水蒸気の状態を知りたい場合には、 湿度や露点などの指標が使われます。

相対湿度、絶対湿度、露点などは、それぞれ表している内容が異なります。 何を知りたいのかを整理したうえで、適した指標や測定方法を考えることが重要です。

水分を知りたい

固体や粉体、食品、原材料などに含まれる水分についても、測定方法は一つではありません。

乾燥による質量変化、電気的特性、赤外線吸収など、 さまざまな現象を利用できます。

また、実験室で測るのか、製造ライン上で連続して測るのかによっても、 適した方法は変わります。

同じものでも、測り方は一つではない

「温度だからこのセンサ」「水分だからこの測定器」と、 最初から機器名だけで考える必要はありません。

対象、環境、必要な精度、測定する頻度、測定後の用途などを考えることで、 適したセンシング方法が見えてきます。

測定対象と測定方式は、別々の軸として考えることが重要です。

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センシングした情報は、何のために使う?

センシングは、値を表示することがゴールではありません。 得られた情報を、現場の判断や行動につなげることが重要です。

測ることは、判断や行動の入口になる

センシングによって得られた情報は、さまざまな目的に利用できます。

  • 状態を記録する
  • 変化を見える化する
  • 異常を監視する
  • 設備を制御する
  • 品質を確認する
  • データを分析して改善する

IoTやデータ分析でも、設備や製品で何が起きているのかを データとして取得することが出発点になります。

つまりセンシングは、現実の状態と、 その後の判断や行動をつなぐ入口の一つです。

温度管理では「測った後」も重要

温度を測定しただけでは、温度管理が完了するとは限りません。 測った情報をもとに設備を制御したり、異常を監視したり、 後から確認できるように記録したりすることがあります。

さらに、測定値を継続して信頼できる状態に保つことも必要です。

計測から制御、監視、校正までを一連の流れとして考える方法については、 「温度ループ」で詳しく解説しています。

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センシングした情報を信頼して使うために

測定器に数字が表示されれば、それだけで適切にセンシングできているとは限りません。

センサが反応したから正しく測れた、とは限らない

例えば温度センサでは、取り付け位置や設置方法が測定値に影響する場合があります。

放射温度計では、対象物の放射率、測定距離、測定範囲、 周囲からの反射などを考慮する必要があります。

つまり、 「センサが何らかの変化を検出したこと」と 「本当に知りたい状態を適切に捉えられたこと」は同じではありません。

測定対象、測定方法、設置条件、周囲環境などを含めて考えることが重要です。

測定値を信頼して使うために

測定値を品質管理や設備制御などに利用する場合には、 その値をどの程度信頼できるのかを考える必要があります。

そのためには、測定方法だけでなく、 測定条件、センサの状態、設置方法、経時変化、校正などを確認することがあります。

「どう測るか」だけでなく、 「その値をどのように信頼して使うか」まで考えることで、 センシングした情報を実際の判断につなげやすくなります。

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迷ったら「なぜ測るのか」に戻って考える

新しいセンサを選ぶとき、測定値がおかしいと感じたとき、 これまでの測定方法を見直すとき。 そんなときは、「何を測るか」より一つ前に戻って考えてみてください。

最初の問いは、「本当は何を知りたいのか?」です。

センサを選ぶ前に、測定器を変更する前に、 まず目的を確認すると、必要なセンシング方法を整理しやすくなります。

例えば、乾燥工程で温度を測っているとしても、 本当に知りたいのは温度ではなく、 「十分に乾燥した状態かもしれない」ということがあります。

その場合は、温度以外の状態を確認した方が、 目的に近い情報を得られることもあります。

大切なのは、測定器やセンサから考え始めるのではなく、 目的から測定へ戻ってくることです。

センシングを考えるときの6つの問い

  1. 何を知りたい?
  2. なぜそれを知る必要がある?
  3. その状態と関係して変化するものは何?
  4. どのような現象を利用すれば捉えられる?
  5. どのような条件・精度・速さで知る必要がある?
  6. 得られた情報を何に使う?

センシングとは、単にセンサで何かを測ることではありません。

知りたいことを、判断や行動に使える情報へ変えるための入口です。

「なぜこれを測っているのだろう」と感じたときには、 この問いまで戻って考えることで、 本当に必要な計測方法が見えやすくなります。

FAQ

センシングについてよくある質問

センシングとは簡単にいうと何ですか?

センシングとは、対象の状態や変化をセンサなどで捉え、 目的に応じて利用できる情報として取得することです。

温度や湿度、水分などを測定し、 その情報を記録、監視、制御、判断などに利用することもセンシングの一例です。

センサとセンシングの違いは何ですか?

センサは、対象の状態や変化を捉えるための要素や機器です。

センシングは、そのセンサなどを利用して対象の状態や変化を捉え、 必要な情報を取得する一連の行為や技術を指します。

センシングと測定・計測は何が違いますか?

センシング、測定、計測は重なりを持って使われる言葉で、 すべての場面で明確に区別できるわけではありません。

このページでは、センシングを 「対象の状態や変化を捉えて、利用できる情報として取得する」 という広い意味で扱っています。

センシングでは何を測れますか?

温度、湿度、水分のほか、 圧力、流量、位置、振動など、 さまざまな状態や量がセンシングの対象になります。

また、同じ対象でも利用する物理現象や測定方式は一つではありません。 例えば温度は、熱電対や測温抵抗体などによる接触式測定のほか、 赤外線を利用して非接触で測定する方法もあります。

センシングとIoTは何が違いますか?

センシングは、現実の対象から状態や変化を情報として取得することです。

IoTは、機器などをネットワークにつなぎ、 取得した情報を送受信・蓄積・活用する仕組みを含む概念です。

そのため、センシングによって取得した現場の情報を、 IoTによって収集・蓄積・活用する、と考えることができます。

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センシングの考え方を理解したら、 実際に何を測るのか、どのような方法で測るのかを詳しく学べます。

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どう測る?

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正しく測るには?

「何を測ればよいか」から考えたい方へ

温度、湿度、水分など、 知りたい状態によって適したセンシング方法は変わります。 まず「何を知りたいのか」を整理してから、 必要な計測方法を検討することが重要です。

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