温度・湿度標準

 

温度・湿度標準

1.SI単位
国際単位系では7つの量、長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物質量および光度について明確に定義された単位、メートル(m)、キログラム(kg)、秒(s)、アンペア(A)、ケルビン(K)、モル(mol)、カンデラ(cd)を基礎として構築されています。 これらの単位を基本単位(base units)といい、基本単位以外の単位は複数の基本単位の結合によって定義され、これを組立単位(deriverd units)といいます。
温度の基本単位はK(ケルビン)で、その定義は「ケルビンはボルツマン定数の値を正確に1.380 649 ×10-23J/Kと定めることによって定義される。」です。
熱力学温度Tとセルシウス温度tの関係は次式で基準点が違うだけで、温度差を表す場合は、同じ大きさになります。

t/℃=T/K-273.15

2.ITS-90
水の三重点を基準として各種物質の蒸気圧点、三重点、融解点、凝固点の熱力学温度を規定したものが国際温度目盛りで現在使用されている目盛は1990年に制定されたITS-90(International Temperature Scale of 1990)です。
また同時に国際温度目盛りでは定点と定点の間の温度目盛を補間するための、補間計器および補間式を定めています。
補足:国際温度目盛は約20年ごとに見直しが行われていて、ITS-90の前は1968年に制定されたIPTS-68(International Practical Temperature Scale of 1968)でした。
3.水の三重点
水の三状態(固体、液体、気体)が同時に存在する状態で通常ガラスセルに蒸留水を充填したセルで実現します。
 
三相が接する部分の温度が273.16Kとなる水の状態図
水の固相(氷)、液相(水)、気相(水蒸気)の三相が共存する状態を水の三重点という。
4.トレーサビリティ体系
温度の国家標準はITS-90に規定する温度定点の実現装置で、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が保有しています。トレーサビリティ体系図を次に示します。

5.校正方法
  • 定点校正法
    高純度の金属を封入した定点セルと温度調節計と加熱または冷却装置を組み合わせてITS-90に規定する三重点、凝固点または融解点を実現する「定点実現装置」を用いて行います。
    主としては標準研究機関、温度計校正事業者が標準温度計の目盛付けを目的として行なう校正。
    特徴
    • 校正の不確かさが小さい
    • 通常標準温度計は不要
    • 決められた温度しか校正できない
  • 比較校正法
    接触式温度計では油槽、電気炉、放射温度計では温度可変黒体炉等の温度発生装置を用い、予め校正された標準温度計との比較によって行います。
    主としては、温度計校正事業者、温度計ユーザが現場レベル温度計の校正に使用されます。
    特徴
    • 校正の不確かさが大きい
    • 標準温度計が必要
    • 任意温度で校正可能
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1.湿度とは
湿度の表しかたにはさまざまな方法があり「JIS Z 8806 湿度-測定方法」では次のa)~i)が記載されています。
a)混合比r(kg/kg)湿潤空気中の水蒸気の質量と乾燥空気の質量との比
b)モル分率xv(mol/mol)湿潤空気中の水蒸気の物質量と全体の物質量との比
c)比湿q(kg/kg)湿潤空気中の水蒸気の質量と全体の質量との比(質量分率)
d)水蒸気圧e(Pa)湿潤空気中の水蒸気分圧
e)絶対湿度dv(kg/cm3)湿潤空気の単位体積中にある水蒸気の質量
f)相対湿度Uw(%)湿潤空気の水のモル分率xvとその温度および圧力で飽和している湿潤空気の水のモル分率xvsとの比の100倍
g)比較湿度Ψ(%)湿潤空気の混合比rと、その温度および圧力で飽和している湿潤空気の混合比rsとの比の100倍
h)露点td(℃)湿潤空気中の水蒸気圧に、水の飽和蒸気圧が等しくなる温度
i)霜点tf(℃)湿潤空気中の水蒸気圧に、氷の飽和蒸気圧が等しくなる温度
一般的な表しかたとしては相対湿度が使用され、実用上は上記のf)の代わりに水蒸気圧を用いた次式が使用されます。

飽和水蒸気圧=ある温度における空気が最大の水分(蒸気)を含んだ状態の蒸気の分圧
2.トレーサビリティ体系
3.校正方法
湿度計の校正は通常下図のように湿度発生槽の相対湿度を露点計と温度計から求め、校正対象湿度計との比較により実施します。
温度と水蒸気圧の関係はSONNTAGの式によって与えられます。
上式より温度計が示す温度Tにおける飽和蒸気圧ewTと、露点計が示す露点温度ewT0がもとまるので、相対湿度が求まります。